【正しくなれない/ずっと真夜中でいいのに。】歌詞の意味を考察、解釈する。

2020年12月17日に、ずっと真夜中でいいのに。の楽曲『正しくなれない』がデジタル配信されました。

この曲は映画『約束のネバーランド』の主題歌でもあります。

その歌詞は、作品の物語と深く結びつき、切なさや人の強さが感じられる内容となっています。

今回は、その歌詞の意味について、詳細に考察していきます。

何を「確かめたくて考え続けたい」のか

ずっと真夜中でいいのに。のセカンド・アルバム『ぐされ』に収録された楽曲『正しくなれない』は、2020年12月18日に公開された浜辺美波主演の実写映画『約束のネバーランド』の主題歌として制作されました。

この映画は、孤児院で暮らす子供たちが実は鬼の食べ物として飼育されていたことを知り、脱出を試みるストーリーであり、新しいタイプの脱獄サスペンスとして注目を集めました。

この作品は日本だけでなく、アニメや小説としても愛され、マンガは英語や韓国語に翻訳され、世界中で人気を博しています。

『正しくなれない』は映画のテーマにリンクするように制作され、作詞作曲を手がけるACAねの独自の世界観が詰まっています。

彼女の繊細で力強いハイトーンボイスも曲と映画の雰囲気にぴったり合っています。

さらに、3Dアニメ作家の安田現象が制作したアニメMVの映像も、楽曲と映画の世界観を見事に表現し、多くのファンの心を捉えて離しません。

正しくなれない 霧が毒をみた
片っ端から確かめたくて
考え続けたい
偽りで出会えた 僕らは何一つも
奪われてないから

子供たちがなぜ「正しくなれない」のか、そして何を「確かめたくて考え続けたい」のかについて、この印象的なサビから始まる歌詞に込められた意味を考察していきましょう。

行動を起こす決意

僕ら育ってゆくみたい 愛されるみたい
暖かな波を読む
今日を 今を選ぶ 澄んだ朝色
尋ねる声で何度でも

子供たちは毎日を楽しく過ごし、成長していきます。

彼らは愛情を受けることで心温まる時間を過ごし、その日常は穏やかで心地よいものでした。

しかし、内なるどこかで違和感を感じていたかもしれません。

歌詞に描かれるように、「澄んだ朝色」で表される心の充足感を失いたくないため、その違和感を自身の間違いとして解釈したいと思っていたのかもしれません。

ただ、直接問いただすことは怖いため、求められる行動を取って反応を見極め、信じてきた絆が正しいかどうかを確かめていたでしょう。

僕ら嘘つきだね、両想いだね
枯れ果てるまで泣き笑い
今日を 受け入れてゆく
喜びあった日々を 忘れはしないけど
知らない方が幸せだって
知れば 知り得るほど

たとえ何年も一緒に過ごしても、相手は秘めた気持ちを抱えていることがあり、時には嘘をついて関係を維持することもあるでしょう。

それでも、過ごした喜びの日々は失われることはありません。

しかし、純粋な愛情だけでは現状を乗り越えることができないことを受け入れることは、諦めに近い感情かもしれません。

真実に触れるたびに、”知らないほうが幸せだ”と感じる苦しみは言葉では表現しきれないものです。

正しくなれない 霧が毒をみた
片っ端から確かめたくて
考え続けたい
偽りで出会えた 僕らは何一つも
奪われてないから

サビの部分が現れます。

「霧」は周囲を曖昧にして見えなくします。

ここでは、主人公の困難な状況という「毒」を隠すための嘘として解釈できます。

真実を知った主人公は苦しむものの、過去の思い出が全て嘘だったのかどうかを「確かめたくて考え続けたい」と言っています。

たとえ偽りの中で出会ったとしても、そこで育まれた絆は真実です。

彼らにはまだ「奪われていないもの」があり、行動し、未来を選ぶ権利があります。

そのため、彼らは行動を起こす決意をしました。

強く現実に立ち向かう

今 心を閉ざさぬように
腰眈々と 訓練を続けよ
枯れ木に 笑顔だけ
君の肉体 本心全て
無駄になんかさせないよ

1番では真実を知り、現実の厳しさを直視した彼らは、2番で「心を閉ざさないように」努力しています。

彼らはこの厳しい世界から逃れることができないことを理解しており、だからこそ諦めることはありません。

彼らの心は枯れ木のようにかさつき、しかし貼り付けた笑顔で苦しみを隠しています。

彼らは命が失われ、そして今を生きる仲間たちの命を無駄にしないようにと、この世界からの脱出を決意しているようです。

ねぇ、知り得る方が幸せだって
辿り着いてもいい?

知らずにただ与えられる日々を送っていた方が、幸せだったのかもしれません。

しかし、真実を知ることで得られる幸せもあるはずです。

最後の希望をかけて、「辿り着いてもいい?」と尋ねる姿に、彼らの健気さが感じられますね。

君だけが見る 夕焼け風鏡
僕でもいつか 解る日まで
考え続けたい
偽りで出会えた 撓る枝分かれよ
導かれ

「夕焼け風鏡」という言葉は存在しませんが、それは「君だけが見る」景色であり、「僕」もその美しさを知りたいと願っていることを象徴しているのかもしれません。

彼らは現状を変えようとしていますが、同じ木の幹にありながらも、「撓る枝分かれ」のように、求められた道を外れてしまっています。

しかし、彼らはもはや無知で弱い子どもではありません。

何かに導かれ、駆り立てられるように、強く現実に立ち向かいます。

人生の厳しさと勇気を持って前に進むことの重要性

大したもんじゃない 無駄なもんじゃない
視野は脳裏を 寛大にしていくように
ずっと もうずっと 茶化されようが
折れない砂の罠

一人の行動が大したものではないように思えるかもしれませんが、それは決して無駄なことではありません。

“視野は脳裏を寛大にしていく”という表現は、過酷な世界を目の当たりにしたことで、些細なことでは挫けない広い心を持っていることを意味しているかもしれません。

砂で作った罠のように脆弱に見えるかもしれませんが、実際には折れない芯がそこにあります。

可能性が 見逃せるならば
可能性を 諦められないから
未だ

心の奥底には、この世界での幸せな記憶がまだ残っていて、逃げ出すチャンスに目をつぶりたいという気持ちもあるでしょう。

しかし、外の世界で新たな未来を手に入れる可能性がある限り、その希望を捨てることはできません。

正しくなれない 君が僕をみた
片っっ端から確かめたくて
考え続けたい
偽りで出会えた 僕らは何一つも
全て嫌われても
奪われてないから

最後のサビでは「君が僕を見た」と歌われていますが、ACAねの歌声を聞くと「霧が毒を見た」と聴こえます。

つまり、「霧」は「君」であり、「毒」は「僕」を表しているのかもしれません。

この解釈では、「君」は子供たちではなく、彼らを育ててきた人のことかもしれません。

霧は周囲を見えなくするだけでなく、自分を隠すものにもなります。

彼らを育てた当初の意図は愛情のない仕事かもしれませんが、共に過ごす毎日の中で表れた愛情や絆は本物だったのではないでしょうか。

だからこそ、そこから出て行こうとするのは相手を裏切る行為とも言えます。

しかし、相手の裏切りをなかったことにはできません。

「正しくなれない」のはみんな同じです。

自分の正しさを追求すると、必ず誰かを傷つけてしまうことになります。

しかしそれが人間というものです。

自分の信念を持ちながら、間違いに立ち向かいながら生きていくしかありません。

この曲は、人生の厳しさと勇気を持って前に進むことの重要性を思い起こさせてくれるものですね。

まとめ

ずっと真夜中でいいのに。の音楽は、彼らの名前と一体化し、薄暗い中に美しさや希望を感じさせます。

彼らの楽曲『正しくなれない』もその世界観を反映し、つらい現実に立ち向かう強い決意が表現されています。

自分や他の人々のために正しく生きようとする強さが歌詞に込められており、多くのリスナーの心を動かすでしょう。

彼らの活動はミニアルバムやライブなどで精力的に行われており、その音楽と歌詞の力に触れてみることをおすすめします。