【祝日/カネコアヤノ】歌詞の意味を考察、解釈する。

カネコアヤノは、その力強さと繊細さを兼ね備えた歌声、そしてリアリティある歌詞によって多くのリスナーの心を魅了しています。
今回は、彼女の3rdアルバム『祝祭』からの楽曲「祝日」の歌詞の意味を詳しく解説していきます。

彼女が伝えたかった感情

シンガーソングライターとしてのキャリアを2012年にスタートさせたカネコアヤノ。
その知名度は着実に上昇し、2018年にリリースした3rdアルバム『祝祭』は多くのリスナーの心を鷲掴みにしました。
このアルバムの中で特に注目されたのが、最後に収録された「祝日」という楽曲です。
今回の記事では、「祝日」の歌詞の深い意味に焦点を当てて解説します。
カネコアヤノの魅力のひとつは、日常の感情を見事に歌詞に込めること。
では、「祝日」で彼女が伝えたかった感情とは何でしょうか?
彼女が表現したいと考えたメッセージについて、詳しく掘り下げてみましょう。

将来に対する不安

お腹が痛くなったら
手当てをしてあげる
嫌われないように
毎日不安にならないようにしている

楽曲の冒頭において、主人公の感情が歌われています。
この部分では、主人公が大切な誰かに対する思いが描かれており、その対象はおそらく恋人であると解釈されます。
歌詞の最初から2行目までの内容から、主人公にとって恋人は非常に重要な存在であることが窺えます。
特に、「手当て」という表現は、文字通りお腹に「手を当てる」ことを指しており、主人公が相手に対して包容力のある優しさを示す様子を表しています。

3行目から4行目では、主人公がこの大切な人を失ってしまう恐れに怯えている様子が描かれています。
恋人との関係において、自然体でいたいという願望と同時に、相手にさらに好かれたいという欲望が交錯しています。
このような矛盾した感情から、主人公は恋人が遠ざかってしまう予感を抱いているのかもしれません。


それはそう あなたと目をあわせるようなこと
みんなに内緒もいつまでできるかな

この部分の歌詞からは、主人公と恋人の関係がまだ浅い可能性がうかがえます。
周囲の人たちに対して、彼らの関係をあまり明かしていないようです。
関係が深まるにつれて、この秘密を続けることが難しくなるでしょう。
なぜなら、関係が進展するにつれて、周りにもその親密さが見え隠れするからです。

おそらく、この秘密を抱えていることが、主人公の将来に対する不安を増幅させている可能性があります。
他の人たちが2人の関係を知らなければ、関係が終了した場合でも、実際に2人がどのような関係だったのか誰にもわからないでしょう。
この点で、主人公は2人の関係を証明できる人がいないことに不安を感じているかもしれません。

秘密を守りたいという気持ちと同時に、どこかでその特別な関係を公に認めたいという望みも抱いているかもしれません。

恋愛によって引き起こされるポジティブな変化

飽きないな
若気の至りか 気持ちの問題か
あとは抱き合って確かめて

ここから楽曲の1番のサビ部分に移ります。
まず、1行目の歌詞が、この楽曲において何度も繰り返されるフレーズとなっています。
なぜ主人公が「飽きない」と歌っているのか、その背後には特別な意味が込められていることでしょう。
この言葉は、おそらく主人公と恋人が共に過ごす時間のことを指しています。

2人は一緒にいると、些細なことでも楽しみ、おしゃべりを楽しんだり、一緒に出かけたりすることが非常に愉快で充実していることがうかがえます。
主人公にとって、この恋人との時間は非常に貴重で、かけがえのないものであると感じていることが歌詞から伝わってきます。

また、2行目では、この幸福感や興奮が若さや感情の高揚によるものである可能性を考えています。
これは一時的な感情で、恋人同士の愛情が持続するかどうかに不安を感じていることを示唆しています。
主人公は、抱き合うことで愛情が本物であるかどうかを確かめようとしています。
この抱擁を通じて、自身の不安を解消し、真実の愛情を確信しようとしているのでしょう。


あなたが振り返らなくても
姿が見えなくなるまで
気づかれないように見送る
できないことも頑張って
やってみようと思ってる

この部分では、主人公の純粋な恋心が透けて見えます。
帰宅の時間が迫り、恋人が去る様子を主人公は名残惜しそうに見送っている場面が浮かび上がります。
そして、3行目において、主人公は彼を見送る際に露骨にアプローチせず、さり気なく盗み見るように振る舞っていることが分かります。
おそらく、自身の深い感情を恋人に悟られたくないという思いがあるのでしょう。

4行目以降では、主人公の内面が恋によって前向きに変化していることが示されています。
以前はできないことを諦めていたかもしれませんが、恋人の影響で努力する意欲を持つようになったと考えられます。
恋愛によって引き起こされるポジティブな変化が、歌詞を通じて表現されています。

不安さえもどうでもいい

幸せのためなら
いくらでもずる賢くいようよ
いつまで一人でいる気だよ

この部分の歌詞は、どこか鋭い言葉で主人公の感情を表現しており、主人公と恋人の関係を歌っているというよりも、聴衆に向けて語りかけるような要素も含まれています。
恋愛によって幸せを手に入れることが、一部の人からは巧妙な行為と見なされることもあるでしょう。
しかし、この歌詞は、1人でいることではなく恋愛を追求しようと呼びかけているかのようにも感じられます。

1人でいることは他人との親密な関係を避けることを意味し、それによって傷つく機会を減らすかもしれません。
しかし、同時にそのような選択によって幸福を逃す可能性もあるかもしれません。
主人公にとって、幸せを手に入れる近道は、大切な人と共に過ごすことだと信じているのかもしれません。


飽きないな
若気の至りか どうでもいいことだ

楽曲の最後のサビで歌われるこのフレーズは、カネコアヤノ独自の強さと確信を感じさせます。
特に2行目の「どうでもいいこと」という言葉は、初めは投げやりな印象を与えるかもしれません。
しかし、彼女の歌声によって、このフレーズが何ごともないこととして感じられるようになります。

2人でいることが「飽きない」ということが、もしかしたら一時的なものかもしれない。
しかし、主人公にとって、この恋愛は何事にも代えがたいものであり、不安さえもどうでもいいと感じるほどのものなのでしょう。

カネコアヤノの恋愛観や価値観

これからの話をしよう
祝日 どこに行きたいとか

そして、この楽曲のラストで歌われるのは、将来の計画を練る2人の姿です。
未来について楽しい話題を共有することで、主人公は目前の不安を取り除こうとしています。
この積極的なアプローチは、明るい未来を予測することで、2人の関係に希望を持とうとする主人公の前向きな姿勢を示しています。

「祝日」という楽曲で、主人公は行きたい場所を決定することによって、実質的に2人の未来を形作るとも言えます。
この歌詞を通じて、カネコアヤノの恋愛観や価値観が反映されており、明るい未来への願いが表現されています。