SHISHAMO「サボテン」とはどんな曲？歌の背景とリリース情報
「サボテン」は、ガールズロックバンドSHISHAMOが2017年10月25日にリリースした楽曲で、アルバム『SHISHAMO 5』に収録されています。作詞・作曲はボーカルの宮崎朝子さんが手がけており、彼女特有のリアリティある言葉と、繊細かつ力強いメロディが印象的です。
この曲の魅力は、日常の中で誰もが感じる「うまくいかないもどかしさ」と「それでも前を向いていこうとする気持ち」が等身大で描かれているところにあります。大きな出来事を歌っているわけではないのに、不思議と胸に刺さる──それが「サボテン」という楽曲です。
歌詞全体に込められたメッセージとテーマ
「サボテン」の歌詞は、一見地味で冴えない毎日を描いているように思えます。しかし、その中には、「小さな幸せを見つけること」の大切さや、「過去に囚われず今を生きる」強さがしっかりと込められています。
冒頭に出てくる「宝くじが当たるとか」「王子様にプロポーズされるとか」といった願いは、誰もが一度は思い描く“非現実的な幸せ”です。しかし主人公はそれを追わず、代わりに「今日の空が綺麗だ」といった小さな出来事に目を向けていく。ここには、平凡な日常の中にこそ本当の幸せがあるというメッセージが込められているのです。
また、「ぐるぐる回っていく」というリフレインが印象的です。これは人生の循環や、停滞感、時には不安さえも含んでいますが、同時に「それでも止まらずに前に進んでいる」ことの象徴でもあります。
「サボテン」というモチーフの象徴的な意味
タイトルにもなっている「サボテン」は、この楽曲の重要な象徴です。一般的にサボテンは乾いた土地でも力強く生きる植物として知られ、少ない水分でも花を咲かせる姿は「逆境の中でも美しく生きる強さ」を感じさせます。
歌詞中に出てくる「サボテンに花が咲いた」という描写は、ささやかながらも確かな希望の象徴です。人生がうまくいかない日々が続いていても、ふとした瞬間に心が温まることがある。その一瞬の「咲いた花」を見逃さない心の姿勢こそが、主人公が前を向く原動力になっているのです。
さらに、「サボテン」という存在は、他人に理解されにくい痛みや、見えない努力を内に秘めた人そのものとも重なります。トゲを持ちながらも、根を張ってじっと耐え、やがて咲く──この比喩は、まさに主人公自身の姿そのものです。
共感を呼ぶリアルな描写とリスナーの声
この楽曲は、特に若い世代の女性を中心に強い共感を集めています。SNSやレビューでは、「泣けた」「今の自分の気持ちにぴったり」「前向きになれた」という声が多く見られます。
SHISHAMOの魅力は、キラキラした理想論ではなく、「自分は弱いけど、それでも大丈夫」と思わせてくれる現実的な視点にあります。「大丈夫なふりをするのは慣れてる」という一節には、無理をしてでも笑顔でいることを選んできた多くの人たちの姿が重なります。
また、歌詞全体を通して派手な展開はありませんが、そのリアルな生活感こそが多くの人の心を打つのです。大それた夢ではなく、「昨日より今日の方が少しでもよかったと思える」ことが幸せだと語るその言葉に、救われる人は少なくないはずです。
まとめ：『サボテン』が伝える“前を向く強さ”とは
「サボテン」は、派手なサクセスストーリーでも、完全無欠なヒロインの物語でもありません。むしろ、不器用で傷つきやすく、だけど確かに前を向こうとしている「私」の物語です。
何度転んでも、うまくいかなくても、それでも走り続ける。時に振り返り、時に立ち止まりながら、それでも「止まらなければいい」と自分に言い聞かせて進んでいく──この姿勢が、多くの人に勇気を与えているのでしょう。
聴くたびに気づきがあり、その時々の心の状態によって意味が変わる歌詞。あなたにとっての「サボテン」は、どんな存在ですか？ 忙しい日常の中でふと立ち止まり、自分の中にある「小さな幸せ」に目を向けてみる。そんなきっかけをくれる一曲です。
