クリープハイプというバンドは、独自の世界観で多くのファンを魅了し続けています。
彼らのベストアルバムが話題となった時、その感動を歌に込めて伝えました。
一緒にあの頃を振り返りながら、その歌詞をお楽しみください。
クリープハイプと旧レーベルの関係性
今回紹介するクリープハイプの曲、「社会の窓と同じ構成」は、興味深いタイトルがついていますね。
実はこの曲は、2014年にリリースされたアルバムに収録されていますが、そのタイトルは2013年にリリースされたシングル「社会の窓」と同じものなんです。
驚くべきことに、この曲のコード進行や構成は「社会の窓」とまったく同じなんです。
そんな縁から、このタイトルが採用されたようです。
彼ららしいユニークなセンスが、タイトルからも伝わってきますね。
このアルバムがリリースされたのは、クリープハイプが所属レーベルを変更した後のことです。
以前所属していたレーベルとの間で、ベストアルバムの発売に関するトラブルがあったという話もあります。
その後にリリースされたアルバムには、男女の別れを描いたかのようなこの曲が収録されています。
ついついクリープハイプと旧レーベルの関係性を考えてしまいますね。
そんな視点も含めて、早速歌詞の内容を詳しく見ていきましょう。
彼らが指している「彼」とは
世界で1人だけだったの
誰より彼を愛してたの
でもお互いの事を思って
別々の道を選んだの
主人公が女性であると推測される恋愛物語ですが、冒頭で述べたように、異なる解釈も可能です。
クリープハイプとレーベルを置き換えて考えてみると、クリープハイプがレーベルに対して多大な信頼を寄せていたと想像されます。
良好なパートナーシップを築いていると信じていた中で、突然の別れが訪れたという状況です。
このエピソードからは、彼らの関係が完全に対立しているように見えるかもしれませんが、それは必ずしも真実ではないということを、丁寧にファンに説明しているようにも感じられますね。
ありきたりな話だけど
そんな簡単な事じゃなくて
うまく言葉に出来ないけど
何より彼を愛してたの
レーベル移籍当初、クリープハイプはその理由を「自分たちの音楽活動をより自由にするため」と述べました。
これは彼らの真意であるかもしれません。
その理由は歌詞の中の「簡単な事」に該当します。
しかし、ファンはもっと深い理由を想像したかもしれません。
本当の理由は別のことだったのでは?ベストアルバムの件が関係しているのでは?と。
もちろん、真実は分かりませんが、歌詞の中で触れられているように、表には出せない複雑な感情があったかもしれません。
それでも、彼らはファンに対して、美しい理由を提示し続けました。
きっと、ファンを真剣に考えて行動した結果だったのでしょう。
もしかすると、彼らが指している「彼」とは、レーベルだけでなく、クリープハイプのファン全体を指しているのかもしれませんね。
クリープハイプらしい遊び心
しらねーしらねーしらねーしらねー
しらねーしらねーしらねーよそれ
この歌詞は、強い言葉で何かを拒絶する様子を描いていますね。
クリープハイプが何を「知らない」と主張しているのか、考えてみると、おそらく移籍騒動の際に寄せられた様々な意見に関連しているでしょう。
ファンからは移籍の背景にあるレーベルへの批判が強かったことや、一方でクリープハイプに対する疑問もあったかもしれません。
ただ、正解や間違いを決めるのは難しい問題であり、そのような議論は不毛に感じられることもあるでしょう。
クリープハイプは、そのような状況に対して、「知らない」という言葉で拒絶したのかもしれません。
楽曲の後半には、このような歌詞も登場しています。
うるせーうるせーうるせーうるせー
うるせーうるせーうるせーうるせー
余計なお世話だよ馬鹿
この歌詞も同じような気持ちで表現されていますね。
3行目では、それらの議論がただのお節介であることが丁寧に述べられています。
興味深いことに、同じようなフレーズが「社会の窓」にも含まれているんです。
これはシリアスな状況に差し込まれた、ファンだけが理解できるちょっとした仕掛けですね。
クリープハイプらしい遊び心が感じられます。
裏に隠された本音
皆さんの為を思って
やむ負えず決断しました
皆さんの幸せなんて
手に負えず決断しました
1行目と3行目に登場する「皆さん」は同じ言葉ですが、異なる相手を指していると思われます。
まず、1行目の「皆さん」は、おそらくクリープハイプを愛するファンを指しています。
一方、3行目の「皆さん」に対しては、どことなく嫌悪感を示していますね。
これは推測ですが、かつて所属していたレーベルを指していると思われます。
移籍の理由を「自分たちの未来のため」と述べていたものの、その裏に隠された本音がうかがえます。
クリープハイプの芯
あっ何か似てる何か似てる前回の時と何か似てる
なんか似てる何か似てる
幸せになる確率10%以下
もちろん、似ているのは彼らの楽曲「社会の窓」です。
楽曲の構成が同じであることを皮肉って、さらに歌詞にもその関連性を示しているようですね。
特に3行目のパーセンテージが気になるところです。
おそらく、これは「社会の窓」という楽曲の歌詞世界と関連しているのではないでしょうか。
実際、「社会の窓」の歌詞には、何となくスッキリしないモヤモヤとした感情が綴られています。
曲も演奏も凄く良いのになんかあの声が受け付けない
もっと普通の声で歌えばいいのにもっと普通の恋を歌えばいいのに
でもどうしてもあんな声しか出せないからあんな声で歌ってるんなら
可哀想だからもう少し我慢して聴いてあげようかなって
楽曲の主人公は受け入れられずに、幸せになりきれないもどかしさを感じながら物語が終わります。
この楽曲も構成が同じであり、また、どこか暗いトーンが多く登場していますね。
もし「社会の窓」がハッピーエンドでなかったのなら、同様に「社会の窓と同じ構成」もハッピーエンドではないかもしれません。
そんな解釈もできるのではないでしょうか。
いらねーいらねーいらねーいらねーいらねーいらねーいらねーよそれ
「社会の窓」では先ほど引用した通り、周囲から同情を受けているかのような描写がありました。
つまり、この楽曲でも「いらない」と拒否しているのは、周囲からの同情だと考えられます。
レーベル移籍の本当の理由や隠された事情、そしてクリープハイプの気持ちは、当然ながら本人たちにしかわかりません。
しかし、彼らには知ったかぶりをする人たちもいるでしょう。
彼らの気持ちを理解したふりをして同情を示す人も多かったはずです。
しかし、クリープハイプはそのような同情を拒絶しています。
「社会の窓」の発売時から変わらない、クリープハイプの芯を感じることができますね。
彼ららしいユーモア
こうやってバスドラ踏んでたら
いつの間にかなんか売れちゃって
今ならなんとありきたりな
ギターリフもセットでついてきます
ここでは自分たちについて歌っているようですね。
これまでの道のりを振り返り、あっという間だったと感じているようです。
レーベル移籍前にはベストアルバムの話が出たほどですから、彼らの知名度はその時点でかなり高かったでしょう。
そのような自分たちを、移籍先のレーベルに紹介しているようにも思えます。
“こんな僕たちですが、これからよろしくお願いします”といったニュアンスでしょうか。
なんか似てるなんか似てるなんか似てる
なんか似てるなんか似てる社会の窓と同じ構成
同じようなフレーズは前半にも登場していましたが、ここではまた違った意味を持っています。
歌詞の内容というよりも、楽曲の構成自体を皮肉ったフレーズが入り込んでいるのです。
この楽曲を聞いたファンから「この曲、『社会の窓』と似ているよね」と言われることを見越していたのでしょうか。
ならば自分たちが先に宣言してしまおうという、彼ららしいユーモアなのかもしれませんね。