この曲は、Tani Yuukiさんの「おかえり」という楽曲です。
歌詞の深い意味を探求し、この歌が伝えようとしている真の感情についてお伝えします。
一度は経験する純粋で真摯な感情
この曲は、2021年にリリースされたアルバム「Memories」の3曲目に収録されています。
ライブなどで人気が高く、先日シングルとしてデジタル配信されました。
Tani Yuukiさんはこの楽曲について、以下のように述べています。
「おかえり」という楽曲は僕が学生の頃に作りました。
当時から童歌わらべうたのような懐かしさ、雰囲気を感じていて
Tani Yuuki
世代を超えて歌い継がれるような曲になってくれればいいなと思っていました。
それを曲で表現するために精一杯を注ぎ込みました。
アコースティックギターとウクレレの美しい音色が心地よく響き、マイナーコードの進行が切ない気持ちを引き立て、オカリナのような笛のメロディーが幼少期の自分を想起させます。
可愛らしさと同時に切なさが混ざり合い、聴くたびに心の奥深くに響いてきます。
この曲は、人生で誰もが一度は経験する純粋で真摯な感情を見事に表現しています。
生まれてきたのはあなたと出会うため
それでは、歌詞の考察に入りましょう。
温かなぬくもりで胸の中の思いを包み込んでいるかのような歌詞ですね。
さっそく一緒に確認していきましょう。
あなたは今同じ空の下
遠く離れた場所で思い出を紡ぐ
抑えきれぬ想い抱き待ってるから
あなたがここへ笑顔で帰るまで
この歌詞の冒頭は、サビの先行部分であり、後にも度々登場します。
“紡ぐ”という言葉は、様々なものを組み合わせて1つのものを作り出すという意味です。
“思い出を紡ぐ”とは、個々の思い出を集めて1つにまとめることを指しますが、この歌詞では、”紡ぐ”という言葉は心を繋ぐという意味で用いられています。
遠く離れた場所にいても、心が通じ合うというイメージが伝わります。
2人が何らかの理由で遠く離れた場所にいる場合、その場所は異なっても、共通の空を見上げることができます。
次に会えるのはいつだろう?
2人それぞれが成長していく中で、たくさんの思い出を1つずつ重ねながら、再び笑顔で会える日を願い、心を繋ぎ続けたいと思うでしょう。
今までの他の誰とも違う
あなたは太陽、僕が月だとするなら
その光無しじゃ輝けやしない
代わりに安らぎと癒しと静寂を
太陽と月という大げさな表現が使われていますが、それは彼が彼女に対する想いの大きさや強さを感じさせますね。
彼はいつも彼女から温かい心と輝きを受け取っていますが、その彼女が心配になってしまうのです。
自分にできることは限られていますが、彼女から受け取る輝きを通して、彼の姿が僅かに光り、彼女の心に安らぎと癒しを与えられれば、彼は心穏やかになれると願っています。
そんな想いが伝わってきますね。
ねぇ、なんで? あぁ、そこまで
返せるものもないのに、愛してくれる意味を
いつだって僕がそばに居たくて
今までくれた愛に応えられるように
彼女の愛の大きさと深さに少し戸惑いを感じながらも、彼は「僕だって負けないくらいにあなたを愛している」と伝えたいと思っています。
お互いに強い愛で結ばれている様子が窺えるのが、サビの直前の歌詞です。
そして、これからサビに向かっていきます。
2番の歌詞では、2人の想いが永遠につながっているようにとの願いが一層強く感じられます。
一緒に確認していきましょう。
今までは交わることのない
新しい世界を僕に見せてくれたあなたと
いつまでも、いっそどこまでも
目を閉じるその時まで赤い糸を
「赤い糸」というフレーズが登場しましたね。
この言葉は、「赤い糸の伝説」のように、運命を共にする男女を表すものとして一般的に知られています。
彼は、(僕と)出会うまでの日々と、(僕が)彼女に出会うまでの日々が、赤い糸で結ばれていたかのように感じます。
そんな幸せをずっと感じていたいと思っていますね。
ねぇ、まって。 まだ行かないで
あなたを想うほどに苦しくなる意味を
いつだって目を逸らさないで
どこへ行ってもお互いを見つけられるように
あなたを思うほどに苦しくなる意味は、逢えない時間を埋める心の交流に関連しているように私は感じます。
移り変わる季節や時間の流れの中で、世の中は変化していきますが、その変化に目を背けずに前を向いて進んでいきましょう。
その中で変わらないものがあるとすれば、それはあなたから受けた愛と、私が抱くあなたへの愛です。
逢えない時間が胸を締め付け、張り裂けそうになることもありますが、それが2人の愛を育てることになり、いつでも目を閉じればあなたがそこにいる… そのことを信じています。
こうした想いが、2番のサビ前の歌詞に感じられるのではないでしょうか。
そして、楽曲はブリッジから大サビへと向かうのですが、筆者がこの歌が伝えたい想いの核とした部分は、ブリッジの歌詞全体にあると考えます。
生まれ落ちた日、半分だけ欠けた命
泣き喚いたんだ、満たされぬ何かに
記憶などなくともわかってたんだ
手繰り寄せた糸の先に答えを
半分だけ欠けた命は、満たされぬ何かへのつながりを意味し、その満たされぬ何かは、手に届かない答えへの結びつきを指します。
生まれてから現在までのあなたとの愛を感じる喜びまでの旅路を、赤い糸の先端をたどることで、その答えにたどり着くことができます。
その答えとは…(私が)生まれてきたのは、あなたと出会うためであると解釈されるでしょう。
これが、筆者がこの歌が伝えたい核心である「生まれてきたのはあなたと出会うため」の真意です。
サビのフレーズ「あなたは今同じ空の下」が、大サビの部分で「私は」に変化しているのは、僕もまた同じ空の下で、あなたが大好きだった歌を歌いながら再び逢える日を願い、心を通わせ続ける誓いを表していると、筆者は考えます。
素晴らしい楽曲ですね。