「フジファブリック」の初期の代表曲『虹』。
今回は、歌詞の魅力に焦点を当て、この楽曲について紹介いたします。
音楽を通じて表現することこそが、ロックの本質
週末 雨上がって 虹が空で曲がってる
グライダー乗って 飛んでみたいと考えている
調子に乗ってなんか 口笛を吹いたりしている
雨雲が消えて青空が広がり、空には「虹が美しくかかっている」光景が広がっています。
太陽の光が強く差し込み、虹が多彩な色彩で広がっている様子が想像されます。
こうした風景を見ると、「グライダーに乗ってあの空を飛んでみたいな」という思いが湧いてきます。
空気が爽やかで、気持ちの良さが伝わってくる空間ですね。
週末 雨上がって 街が生まれ変わってく
紫外線 波になって 街に降り注いでいる
不安になった僕は君の事を考えている
雨雲が消えて、日常の風景が新たな顔を見せる瞬間があると思いませんか?
そうした瞬間に「街が新しく生まれ変わっていくようだ」と感じています。
雲一つない空から太陽の光が輝いて差し込んでいる光景が浮かびます。
その瞬間、「紫外線」がまるで街に注がれているような錯覚を覚え、そのことで「君」への気持ちが不安に変わりました。
女性たちは日焼けを気にされることが多いですよね。
「君」もそのような一人なのかな、と考えています。
週末 雨上がって 虹が空で曲がってる
こんな日にはちょっと 遠くまで行きたくなる
缶コーヒー潰して 足をとうとう踏み出す
晴れた日には、普段はあまり行かない「少し遠出をしたくなる」衝動が湧いてくることがあります。
これまで雨が続いて家に閉じこもっていた時など、特にそうした気持ちが高まることがあるでしょう。
そう感じていても、すぐには動き出すことができず、まずは「缶コーヒー」をひと息つきながら味わう光景が浮かびます。
飲み干した缶コーヒーをつぶし、そして「勇気を出して歩みを進める」瞬間がやってきます。
この歌詞には、単純に外出することへの願望と同時に、自分にとって新しい一歩を踏み出す勇気が込められていると感じられます。
週末 雨上がって 街が生まれ変わってく
グライダーなんてよして 夢はサンダーバードで
ニュージャージーを越えて オゾンの穴を通り抜けたい
今度は「サンダーバード」に乗って空を飛びたいと願っています。
この「サンダーバード」という言葉には、さまざまな解釈が存在します。
おそらくご存知かと思いますが、それぞれの解釈について簡単に触れてみましょう。
歌詞中の「ニュージャージー」を考慮すると、アメリカの伝説的な巨大鳥「サンダーバード」のことを指している可能性があります。
この解釈では、広大な空を舞う伝説の鳥のように、自由な飛翔を象徴しているかもしれません。
しかし一方で、「オゾンの穴を通り抜けたい」という歌詞を考えると、イギリスの人形劇「サンダーバード」にも言及している可能性が考えられます。
この解釈では、宇宙へ向かうロケットなどを連想させ、遠くへの冒険を描いているかもしれません。
どちらの解釈も大切ですが、深く考えずに、とにかく広い空へ飛び立ちたいという情熱を感じることが大事です。
その情熱こそが、ロックの真髄とも言えるでしょう。
遠く彼方へ 鳴らしてみたい 響け!世界が揺れる!
言わなくてもいいことを言いたい まわる!世界が笑う!
サビの歌詞は非常に軽快でエネルギッシュな雰囲気があります。
その楽曲を通じて、フジファブリックは音楽を通して「遠く彼方へ」届け、世界を揺さぶりたいという情熱が感じられます。
時には、事実であっても「言葉にしなくてもいいこと」が現実に存在します。
そうした誰かにとって都合の悪い事実や、人々が意図的に目をそらしている現象が多く存在するのです。
こうした社会的なテーマに真摯に向き合い、それを音楽を通じて表現することこそが、ロックの本質だと私は考えます。
まとめ
今回、初期の名曲である「虹」について紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
曲のエネルギッシュなサウンドと軽快なロックな歌詞が、とても魅力的な楽曲です。
もし「虹」に心惹かれた方は、ぜひアルバム『FAB FOX』も一聴してみることをおすすめします。
また、志村正彦を失った悲しみにくじけず、今でもフジファブリックは精力的に活動を続けています。
彼らの音楽に触れることで、さらなる新たな魅力に出会えることでしょう。