『NIGHT DANCER』は、新世代の才能溢れるアーティスト・imaseによる世界的なヒット曲です。
この楽曲はSNS時代を象徴し、男女の心の距離が縮まる夜の神秘的な瞬間を美しく描写しています。
歌詞のメッセージを紐解くと、心に残る感動的な体験が広がっています。
変わらないことと変わっていくこと
新世代の日本人アーティスト・imase(イマセ)が海外でも注目を集めています。
彼は音楽活動を始めてわずか1年ほどで、自身の楽曲がTikTok上で広がり、2021年12月にメジャーデビューした後も、数多くの楽曲でSNSを賑わせてきました。
今回紹介する楽曲『NIGHT DANCER』は、2022年8月に配信リリースされたダンスナンバーで、キャッチーなメロディとimaseのリラックスした歌声が、自然に口ずさみたくなる魅力的な一曲です。
BTSのジョングクを含む有名な韓国アーティストたちがカバー動画やダンス動画を投稿したことで、国内外で注目を浴びています。
『NIGHT DANCER』は韓国の配信サイト・MelonでJ-POP初のTOP20入りを果たすなど、31の国や地域のSpotifyバイラル・チャートTOP50にもランクインしました。
このような楽曲を通じて、imaseの音楽のクオリティと個性が世界に認知されていることが伺えます。
楽曲はどのような世界を描いているのか、歌詞の意味を考察しながら読み解いていきましょう。
まだ止まった 刻む針も
入り浸った 散らかる部屋も
変わらないね 思い出しては
二人 歳を重ねてた
1番の歌詞から、久しぶりに再会した男女の姿が浮かんできます。
「まだ止まったままの時を刻む針」という表現から、普通に進む時間の中で2人の時間はまだ動き出していないことがうかがえます。
以前から、2人はお互いに惹かれ合いながらも友達のままだったかもしれません。
そんな2人の関係や「懐かしい散らかった部屋」も、昔と変わらないようです。
しかし、歳を重ねていて、あの頃から確実に時が経ったことを感じさせます。
また止まった 落とす針を
よく流した 聞き飽きるほど
変わらないね 変わらないで
いられたのは 君だけか
続く「また止まった落とす針」のフレーズは、レコードの針を指しているようです。
お気に入りの曲を繰り返し流せば、あの頃の気持ちに戻ったかのような感覚に陥りますね。
主人公の男性は変わらない「君」と向き合いながら、自分の変化を感じているようです。
一瞬一瞬を大切にする
無駄話で はぐらかして
触れた先を ためらうように
足踏みして ズレた針を余所に
揃い始めてた 息が
彼女に対する恋心を「無駄話でかわしながら」、友達として戯れる一瞬にもっと触れたい気持ちを抱えながらも、ためらっています。
しかし、そんな葛藤を抱える主人公の心情は、2人の間に次第に息が合ってきていることを感じさせます。
どうでもいいような 夜だけど
響めき 煌めきと君も ”踊ろう”
どうでもいいような 夜だけど
二人刻もう
サビでは音楽に合わせて踊ることで心を通わせようとしている様子が伺えますね。
「どうでもいいような夜」であっても2人で踊れば特別な時間になるでしょう。
このフレーズは「とってもいいような夜」とも聞こえ、何気ない夜こそが素晴らしいという想いも見え隠れします。
言葉はなくても踊るだけで喜びや愛などの心の「響き 煌めき」が共有されていくのです。
透き通った 白い肌も
その笑った 無邪気な顔も
変わらないね 変わらないで
いられるのは 今だけか
彼女の「透き通った白い肌もその笑った無邪気な顔も」、恋をした時と変わらない魅力を感じます。
その姿が「変わらないでいられるのは今だけ」かもしれませんが、一緒に過ごせる一瞬一瞬を大切にしたいという気持ちが伝わってきます。
何でもない夜も特別な夜になる
見つめるほどに
溢れる メモリー
浮つく心に コーヒーを
乱れた髪に 掠れたメロディー
混ざりあってよう もう一度どうでもいいような 夜だけど
ときめき 色めきと君も ”踊ろう”
どうでもいいような 夜だけど
二人刻もう
彼女を見つめていると、過去の大切な思い出が心によみがえります。
そして、好きな人と再び過ごせる喜びに胸を躍らせながら、コーヒーを飲んで落ち着こうとしているようです。
互いの距離が近づくことにワクワクしながら、2人が踊る空気がいっそう色鮮やかになっていきます。
夜は長い おぼつかない
今にも止まりそうな ミュージック
君といたい 溺れてたい
明日がこなくたって もういいの
長い夜の中で、まだ始まったばかりの2人の関係は「不安定で、いつも動きそうなミュージック」のように感じられます。
それでも、「君と一緒にいたい」と切望し、2人の時間に「浸っていたい」と願っています。
「明日が来なくてももういい」という言葉から、主人公の熱い想いが伝わります。
この夜を永遠に続けたいという気持ちが込められています。
どうでもいいような 夜だけど
響めき 煌めきと君も ”踊ろう”
どうでもいいような 夜だけど
愛して
どうでもいいから 僕だけを
ふらつき よろめきながらも ”踊ろう”
どうでもいいような 夜だけど
二人刻もう
主人公は「どうでもいいような夜」でも彼女と一緒に踊るこの時間を彼女にも愛してほしいと願っています。
「愛して」という一言には、その時間を通して「僕だけを」愛してほしいという気持ちが込められていることが感じられます。
ぎこちなくても、よろめきながら踊るダンスは決してうまくはないかもしれませんが、大切なのは一緒に踊るその時間です。
好きな人に近づこうとする時、たとえ「どうでもいいような夜」でも、それがかけがえのないものに変わっていく様子が魅力的に描かれています。
自分の思い出と重ねてみてください
imaseの『NIGHT DANCER』の歌詞には、微妙な距離の男女が音楽を通じて心を近づけていく様子が繊細に描かれています。
歌詞全体を通して、意図的に抽象的な表現を用いることにより、リスナーそれぞれが自分の思い出や恋を重ねて楽曲を聴くことができる点がこの曲の魅力と言えるでしょう。
『NIGHT DANCER』の心地よいリズムに乗れば、何気ない夜のひとときもきっと楽しく盛り上がることでしょう。