【キラキラ/aiko】歌詞の意味を考察、解釈する。

人気アーティスト、aikoさんのヒット曲「キラキラ」は、輝くピアノと電気ギターのイントロが特徴的な楽曲です。

aikoさん自らが手掛けた歌詞には、光り輝くような「自分」の姿が描かれており、使用される言葉や語尾にも明るさが感じられます。

しかし、曲の全体を細かく見ていくと、この楽曲が実は悲しい恋の物語を歌っていることに気づかされます。

曲の表面的な明るさとは裏腹に、歌詞の中には悲しみが隠されているのです。

このセッションでは、「キラキラ」という楽曲がどのようにして明るい雰囲気の中に悲しい要素を織り交ぜているのかを、4つのセクションに分けて解析していきます。

キラキラと織りなす時間の流れ:歌詞に隠された意味の探求

Aメロの初めには「今日」という言葉が登場します。

待ってるねいつまでも

今日は遅くなるんでしょう?

この箇所を単独で見た場合、ただ「あなた」を家で待つ女性の様子を描いているように思えます。

おそらく、「あなた」は何かの仕事や用があって遅くなっているのでしょうか、と感じられます。

だが、歌詞では2番のAメロに入ると「明日」という言葉が使われます。

明日は来るのかな?

きっとちゃんとやって来るよ

仲良しの友達

励ましくれた四つ葉の緑

最初に、「ちゃんとやってくるよ」というフレーズは、友人からの激励と解釈できます。

次に出てくる四葉のクローバーは、一般的に幸運を象徴しています。

この歌詞で友人を四葉のクローバーにたとえることから、二人の関係が非常に良好であることを示唆しています。

「明日は来るかな?」という疑問に対して、「明日」は生きている限り必ず訪れるものです。

言い換えると、この曲の文脈では「次の日」はもう到来していると言えます。

そうやって悲しい日を越えてきた

眠れぬ夜迎えてばかり

歌詞を紐解くと、明らかに複数の日々が描かれています。

そのため、この楽曲で言及される「明日」は、普通に想定する「今日の翌日」とは異なる可能性が高いです。

では、この曲での「明日」とは何を意味するのでしょうか。

「明るい」と「日」を組み合わせた「明日」が、実はこの曲の題名「キラキラ」と密接に関連しているのかもしれません。

そう考えると、この結論に至るまでに時間の流れについて少し説明する必要があります。

永遠の待ち人:歌詞に込められた終わりなき約束

最初に、1番のサビの印象深い部分を見てみましょう。

羽根が生えたことも

深爪したことも

シルバーリングが黒くなったこと

帰って来たら話すね

この楽曲では、「四つ葉の緑」と「シルバーリング」という2色が重要な役割を果たします。

「緑」は四つ葉がまだ新鮮であることを指し、これが励ましを与えてくれる友人が現在も側にいる象徴として用いられています。

この表現から、友人との関係が現在も続いていることが示唆されているかもしれません。

一方で、「シルバーリング」が黒く変色していることは、時間の経過を暗示しています。

特に、帰宅してその変色を報告するという点は、二人が最後に会った時にはリングはまだ変色していなかったことを示しています。

リングが黒く変色するまでには、通常、数年の歳月が必要であり、これは長い時間が経過したことを意味していると考えられます。

したがって、愛する人を待ち続けてから長年が経過したことを伺わせる解釈に誤りはないでしょう。


では、どれだけの期間待ち続けるのでしょうか。

サビの部分を詳しく見ていきましょう。

その前にこの世がなくなっちゃってたら

風になってでもあなたを待ってる

「この世が終わる」という表現の意味は、人によって異なるでしょう。

それは「地球の終焉」、「神の不在」、「サードインパクトの発生」など、宗教的信念や個人の価値観に左右されます。

しかし、より現実的な解釈をするならば、「『私』がこの世を去ること」と言えるかもしれません。

風が存在することから、宇宙の終わりというわけではないでしょう。

さらに、風となっても待ち続けると述べていることから、「死んだ後もなお待ち続ける」という意味、すなわち何十年もの長きにわたって待つと解釈できます。

シルバーリングが黒く変色するほど長い時間、「あなた」を待ち続けているのです。

「あなた」が戻ってきた時、たとえ私が既に亡くなっていたとしても、その事実を伝えると語っています。

これは非常に長い期間、帰還を信じて待ち続けるという、心を揺さぶるような物語です。

ここでは「もし戻ってきたら」という仮定ではなく、「戻ってくる」という確信が伺えます。

夜の静寂と希望の光:「キラキラ」に込められた深い意味

これは2番のサビの終わりの部分に当たります。

ひたむきに光を探してた

この曲の中で描かれる輝きこそが「キラキラ」の正体だと思います。

要約すると、この楽曲は「明日」を希望と等しい光、すなわち「キラキラ」として描いていると解釈しています。

ここでの「明日」とは、帰る保証のないあなたを待つ「今日」が閉じ、あなたが帰って来るその瞬間を指します。

この歌詞からは、「あなた」がなぜ帰らないのかの具体的な理由は明らかにされていません。

それが単なる破局の結果であるのか、関係が自然に終わったのか、あるいは戻ることができない事情があるのか。

しかしながら、「明日」は絶えず待ち続けられるもので、

想い悩み溢れるほど

眠れぬ夜迎えてばかり

夜という時刻は、まだ「明日」に至っていない状態を意味します。

この楽曲のタイトル「キラキラ」とは対照的に、夜はその暗さで知られています。

つまり、夜が続いている=「今日」にとどまっている=あなたがまだ戻っていない、というわけです。

これはなんとも切ないですね。

結論として、「キラキラ」というタイトルは、輝く「明日」、すなわち「私」がひたむきに信じ続けている「あなたが帰ってくるその日」を指していると私は思います。

解読の旅:aikoの歌詞に見る情熱と失望の狭間

よく「羽根が生えた」という表現は、「私」がこの世を去っていることを暗示しているという見解を耳にします。

しかし、これには明確に反対したいと思います。

2番のサビには、「私が既に亡くなっている」という理論を否定する内容の歌詞が存在します。

触れてしまったら心臓止まるかもと

本気で考えた暑い夏の日

正に、「心臓が止まるかもしれない」という表現がポイントです。

つまり、まだ生きているということです。

「心臓が止まる」というのは単に比喩的な表現に過ぎません。

実際に亡くなっている場合、「心臓が止まるかもしれない」というような表現は用いられないでしょう。

もし、歌詞内で亡くなっているとすれば、それは「あなた」の方かもしれないと私は考えます。

遠い遠い見たことのない

知らない街に行ったとしても

離れ離れじゃないんだから

たとえ以前の恋人がまだ生きていても、未知の場所へ行ったとしても「離れていない」と表現するのはどうでしょうか。

大きな誤解をしているか、あるいは自己中心的な考え方をしている人でなければ、振られた側が「私たちは離れていない」と感じることは稀でしょう。

aikoさんの歌詞の中で、そういった難解なキャラクターは登場しません。

「遠くへ行っても離れていない」という表現は、通常、亡くなった人を指して使われることが多いです。

このことから、私は「あなた」がおそらくこの世を去ってしまったのではないかと推測しています。


歌詞全体を通して、「待っているよ」「離れていないよ」といった肯定的なフレーズが目立ちます。

しかし、唯一、2番のサビにおいては、悲しみがはっきりと表現されている箇所が存在します。

雨が邪魔しても

乾いた指先に残るあなたの唇の熱

流れた涙が冷やした

「雨」は避けられない事象や外からの影響であり、それが「あなた」に対する情熱を冷ますことはありませんでした。

恐らく「彼は戻らない」とか、「やり直しは不可能だ」「亡くなった人とは再会できない」といった周囲の声や常識が、期待を消し去ることはなかったでしょう。

しかし、「涙」は自分自身の感情の変化を意味し、あなたが帰るという希望が少しずつ薄れていったのです。

表向きは肯定的な言葉を並べても、実際には「あなた」が戻ることはないと内心では分かっていました。

そして、自然に流れ出る涙がその実感を深めたのです。

この解釈は、aikoさんの歌詞が主語が不明確であったり、特有の小道具(この場合は四つ葉やシルバーリング)を使った表現があったりすることから、様々な解釈を生み出します。

解釈の多様性は、答えを私たちに委ねているとも言えるでしょう。

是非、皆さんも自己の経験を踏まえて、考えを巡らせてみてください。