【金木犀の夜/きのこ帝国】歌詞の意味を考察、解釈する。

ヴォーカル&ギタリストの佐藤千亜妃さんは、かつて女優として活躍した経歴を持ちます。

彼女が所属するバンド、きのこ帝国は非常に魅力的です。

その中でも、2018年9月12日にリリースされたメジャー3枚目のアルバム『タイム・ラプス』に収録されている「金木犀の夜」は特に注目に値します。

この曲は、別れたばかりの恋人や、忘れられない思い出を抱える人、切ない恋をしている人にとって、心に沁みるものがあるでしょう。

この歌を聴いて、感情が溢れ出ることでしょう。

MVでも描かれている「金木犀の夜」の歌詞世界

確かに、ボーカル&ギターの佐藤千亜妃さんはとても魅力的ですね。

彼女はかつて、ホリプロスカウトキャラバンでグランプリに輝き、女優としても活躍していました。

しかし、それは過去の話です。

きのこ帝国としての活動は2012年にインディーズデビューし、2015年にはメジャーデビューしました。

また、クガツハズカム名義でのソロ活動も行っています。

佐藤千亜妃名義でのソロ1stEP「SickSickSickSick」は2018年7月にリリースされました。

そのEPのジャケット写真もとても可愛いですよね!


そうなんですよ、こんなに可愛らしい女性でも、切ない思い出を抱えることがあります。

それがきのこ帝国の「金木犀の夜」なんです。

この曲は2018年9月12日にリリースされた、メジャー3rdアルバム『タイム・ラプス』に収録されています。

ふとした瞬間に心に浮かぶ切ない恋の物語。

まさに初恋の相手と結婚した、というのは稀な話かもしれませんね。

だって、終わった恋を忘れることは誰しもが経験することだから。

この曲のボーカル&ギターは、もちろん作詞作曲も可愛らしい佐藤千亜妃さんが手がけています。

特に秋の夜に聴くと、センチメンタルな気持ちになりますし、その世界観にどっぷりと浸ることで心がスッキリするかもしれません。

そんな恋の思い出を振り返りながら、新たな一歩を踏み出すのも良いですね。

歌詞を覚えて、佐藤千亜妃さん風にカラオケで歌うのも良いですよ!

まずはMVをチェックしてみましょう。

ただし、感動して涙がこぼれるかもしれないので、ハンカチは用意しておいてくださいね。


レトロでノスタルジックな雰囲気が漂うMVですね。

きのこ帝国が演奏しているのは、カラフルなミラーボールが煌めくオールディーズなダンスホール。

そこでは思い思いに踊ったり、クラッカーを鳴らしたり、ソファーの上を飛び跳ねたりする人々がいます。

中にはキスをするカップルもいます。

まるで盛り上がるパーティータイムのようですね。

しかし、風でカーテンがはためく窓際の椅子に座り、悲しそうな表情をしている女性が一人います。

彼女を演じているのはViVi専属モデルのmiuさんで、とても切なそうですが、美しい表情ですね。

カワイイ女の子好きにはたまりませんね。(←本題はそこじゃない!)

最後はmiuさんも屋上で朝日を眺めて笑顔を取り戻しているのでひと安心です。

このMVでも描かれている「金木犀の夜」の歌詞世界を解説していきます。

過去の恋愛を思い出すには最適な花

だいたい夜はちょっと
感傷的になって
金木犀の香りを辿る

夜は感傷的になることが多いですね。

昼間や夜は、忙しい活動の中で何かに集中しているため、ちょっとした気がかりも気になりません。

しかし、夜になると一息つく時間ができ、過去の思い出がよみがえってきたりして、センチメンタルな気分になりますよね。

これってよくある話ですね!

そんなときに「金木犀の香りをたどる」というのは、本当に美しい表現です。


匂いが記憶を喚起する現象は、プルースト効果として知られています。

この効果は、フランスの作家マルセル・プルーストが描いた小説「失われた時を求めて」に由来しています。

五感のうち嗅覚は最も原始的であり、脳に直接影響を及ぼす匂いは長期記憶を引き出しやすいとされています。

そのため、匂いを嗅ぐことで過去の恋愛を思い出すことは、匂いフェチでなくてもよくあることなのです。


「金木犀の香り」と聞いて、即座にイメージが湧く人もいれば、そうでない人もいるでしょう。

金木犀は秋にオレンジ色の小さな花を咲かせる常緑樹で、庭木としてもよく見られます。

その強烈な甘い香りは一度嗅ぐと忘れられないもので、クチナシやジンチョウゲ(沈丁花)とともに三大香木の一つに数えられることも納得です。

香水やポプリ、そして桂花陳酒の材料としても利用されています。

ちなみに、金木犀の花言葉は「謙虚」「気高い人」「真実」「陶酔」「初恋」となっています。

その甘く官能的な香りに酔いしれ、初恋など過去の恋愛を思い出すには最適な花と言えるでしょう。

切ない言葉が次々と

何でもないふりしても
声が聴きたくなって
電話番号を思い出そうとしてみる

「金木犀の夜」に登場する女性の恋の終わり時期については、まだはっきりしていません。

平静を装っていても、彼の声が聞きたくなるというのは、別れてから間もない時期かもしれません。

しかし、別れた直後であれば、元カレの電話番号を思い出す必要はないはずです。

いずれにしても、過去の恋を引きずっているようです。

日常生活をいつも通りに送っていても、夜になるとやはりつらいということですね。

まだ心には失恋の痛みが残っている状態で、切なさが感じられます。


かける、かけない
会いたい、会いたくない
いつの間にか
随分遠くまで来てしまったな

だからもう別れたっていうのに……。

頭ではわかっているのについケータイに手が伸びてしまう。

そんな状況ですね。

いつも一緒にいたのに、別れをきっかけに会わなくなってしまった元カレ。

「随分遠くまで来た」という歌詞から別れた直後ではなかったことがわかりました。

一つの恋が終わったらすぐに次!という人もいるかもしれませんが、女性は現実的だと言われていますが、実際には意外と引きずっていたりします。

特に相手から別れを告げられた失恋の場合、しばらく時間感覚がおかしくなることもあります。

この「いつの間にか」というさり気ない表現が、じわじわと効いてきます。


あの頃のふたりは
時が経っても消えやしないよね
いつか他の誰かを
好きになったとしても忘れないで

やはり別れからしばらくの時間が経っていたようですね。

それなのに……、切ない言葉が次々と出てきます。

つきあっていたことや共有した思い出は消えないと、今はいない元カレに対して語りかけるなんて。

切なさが募ります!

忘れられない元カレに好きな人ができることを想像するなんて。

切なさが募ります!

それでも「忘れないで」とかもう……(涙)。

このサビで思い切り感情を解放しましょう。

現実は容赦なく

だんだん寒くなって
夏は通り過ぎてた
金木犀の香りで気付く

「トゥトゥトゥ~」という間奏に続いて2番が始まります。

金木犀は9月下旬から10月中旬というほんの短い期間しか花を咲かせません。

ただ、そのオレンジ色の小さな花からただよってくる甘い香りは、非常に強烈です。

しかも夜になるとその香りはさらに強くなるようです。

秋の風物詩である金木犀の香りが肌寒くなったり、ただよってくることがあります。

え?夏もう終わってるじゃん!という感じでしょうか。


どうでもいいふりしても
きみが好きなアイスみつけて
深夜のコンビニで急に引き戻される

過去の恋や元カレへの思いを引きずっていても、現実は容赦なく待っています。

ずっと泣いているわけにはいかないし、ご飯も食べなければなりません。

そんな時は、自分に「大丈夫」と言い聞かせながら平気なふりをします。

でも、いつの間にかコンビニで深夜に元カレの好きだったアイスを見つけてしまうことがあります。

あ、ダメ、涙が……こぼれてしまいますね。

ハンカチは手元にありますか?

泣きましょう。

これはもう泣くべき時です。

かつての自分の無邪気さ

消える、消えない
泣きたい、泣きたくない
いつかきっと笑って話せる日が
来るなんて本当かな

恋人と別れた後は、自分がどうしたいのかわからなくなることがよくあります。

アンビバレントな感情が入り混じり、涙が止まらない夜もあるでしょう。

でも、どんなに悲しい思いに沈んでも、笑って話せる日は必ずやってきます。

そう言われても、ブルーな気分の真っ最中では信じられないかもしれませんね。

ただ、励ましの言葉に耳を傾ける余裕が少しでもあれば、もう大丈夫です!

少しでも前を向いたことになりますから。

そう背中を押してくれる歌詞ですね。


あの頃のふたりは
怖いものなど何も無かったね
いつか他の誰かを
好きになったとしても忘れないよ

1番では、「ふたりの思い出や私のことを忘れないで」と元カレに訴える内容でしたが、2番では、「怖いものなどなかったふたりの状態を私が忘れない」と変わっています。

さらに、「私が他の人を好きになっても」というフレーズが追加されています。

1番では、「元カレが他の人を好きになっても」でした。

これは失恋の沼から脱出して前向きになったことを示唆しています。

金木犀の香りの刺激で元カレを思い出して泣くだけでなく、かつての自分の無邪気さに勇気づけられることがあるようです。

まとめ

きのこ帝国の「金木犀の夜」は心を締め付ける切ないラブソングです。

その歌詞から、この曲が佐藤千亜妃さんの実体験に基づいているのでは?と考える人もいるでしょう。

去年の秋に、友達で「金木犀の匂い、好きなんだよね」って言ってる子がいて。「きのこ帝国で金木犀の曲あったら泣けると思う、絶対合うから書いてほしい」と言われて、書いた曲なんです。

佐藤千亜妃

公式サイトをご覧いただくと、実体験に基づいていないことが確認できます。

情景自体はフィクションというか。でもいまだに金木犀、どんな匂いなのかも、どんな花なのかも知らないんですよね。たぶん岩手、金木犀、なかったんです。

佐藤千亜妃

しかも、金木犀について知らないとは!え~!

そんなお茶目な佐藤千亜妃さんが在籍するきのこ帝国の楽曲をもっと聴いてみたい!という方は、是非ほかの曲も聴いてみてください。