「じょいふる」の楽曲背景と制作秘話
「じょいふる」は、2009年に発売されたシングル『YELL/じょいふる』に収録された楽曲であり、いきものがかりの代表的なアップテンポソングのひとつです。
この曲は、ポッキーのCMソングとして広く知られるようになり、当時の明るいイメージや元気さが象徴される一曲となりました。
CMソングとして選ばれた背景には、この曲が持つ「陽気さ」や「親しみやすさ」が関係しています。
それまでバラードやしっとりとした楽曲を多く発表してきたいきものがかりが、聴き手の新たな一面を見せるために挑んだハイテンションな楽曲でもあります。
また、この曲の制作にあたり、メンバーは「みんなで楽しむ」というテーマを意識していたと語っています。
曲名「じょいふる(JOYFUL)」には、「喜びに満ちた瞬間を共有したい」という思いが込められており、そのひらがな表記も独特な魅力を引き出す工夫の一つです。
歌詞に込められた「ひらがな」の親しみやすさ
「じょいふる」というタイトルをひらがなで表記した理由には、いきものがかりの「親しみやすさ」へのこだわりが反映されています。
英語表記の「JOYFUL」はそのままでもわかりやすい言葉ですが、あえてひらがなにすることで柔らかさが加わり、より多くの人に愛されるデザインとなりました。
ひらがなは、日本語の中でも特に柔らかく、丸みのある印象を与える文字です。
そのため、「じょいふる」という表記により、子どもから大人まで幅広い世代に受け入れられる普遍的な魅力を持っています。
さらに、ひらがなにしたことで、英語が苦手な人でも自然とその意味を想像できるようになっています。
この工夫は、いきものがかりの楽曲全体に共通する「日本語の響きを大切にする」という姿勢の表れと言えるでしょう。
漢字とカタカナの使い分けに見る深層的な意味
「じょいふる」の歌詞には、ひらがなだけでなく、漢字やカタカナ、さらには英語表記も巧みに織り交ぜられています。
この多様な表記の使い分けが、歌詞全体の豊かさを生み出しています。
例えば、歌い出しの「キミノコエヲキカセテ サア ボウケンシテミナイ タノシイコトハジメヨウ」というフレーズは全てカタカナで表記されています。
これには、POPで軽やかな雰囲気を出すという意図が込められていると考えられます。
一方で、「遊びたい」や「笑いたい」などの願望が漢字で表記されているのは、それが真剣な思いを反映しているからです。
また、英語の「JOY」や「POP」といった単語はそのまま英語で表記されています。
これにより、楽曲が持つグローバルな感覚や現代性が強調され、リズム感を与える効果も生まれています。
このように、「じょいふる」の歌詞は言葉の使い分けを通じて、聞き手に様々な感情を届ける工夫がされています。
「楽しさ」と「儚さ」の共存が生む歌詞の魅力
「じょいふる」は、一見すると明るくポップな楽曲ですが、その歌詞には深いメッセージが隠されています。
特に、「じょいふるだって終わっちゃう エビバデいつか終わっちゃう」といったフレーズには、「楽しさは永遠ではない」という現実を受け入れる姿勢が感じられます。
この一節は、楽しい瞬間が終わりを迎えることを前提に、それを全力で楽しもうというメッセージとして解釈できます。
いきものがかりの楽曲には、このように明るさの中に少しの切なさを織り交ぜる手法が見られることが特徴です。
「じょいふる」は、ただ単に表面的な楽しさを描いているわけではなく、その裏側にある儚さも表現しています。
このような二面性が、多くのリスナーに共感を呼ぶ理由の一つとなっています。
いきものがかりらしさが光る言葉選びの巧みさ
いきものがかりの楽曲は、言葉選びの巧みさで知られています。
「じょいふる」においても、この特徴が存分に発揮されています。
例えば、ひらがな、カタカナ、漢字、英語の表記をバランスよく使い分けることで、聴き手の印象に残る言葉のリズム感を生み出しています。
さらに、言葉の響きそのものにも細心の注意が払われており、日本語特有の「音の美しさ」を最大限に活かしています。
このような言葉選びが、「じょいふる」のポップさと親しみやすさを支えています。
また、楽曲全体を通じて、一つ一つのフレーズがシンプルでありながらも力強いメッセージを持っています。
このバランスの良さが、いきものがかりが多くの人に支持される理由の一つでしょう。
「じょいふる」は、言葉に対する感覚の鋭さと、音楽的な表現力が融合した一曲であり、いきものがかりらしさを象徴する楽曲といえます。