【I’m a mess/MY FIRST STORY】歌詞の意味を考察、解釈する。

2021年に公開されたMY FIRST STORY(通称マイファス)の楽曲『I’m a mess』が、SNS上で大きな注目を集め、翌年にはファーストテイクにも出演した。

この曲の歌詞を解釈し、その魅力に迫る。

コロナ禍の混乱を表現したもの

『I’m a mess』は、ボーカルのHIROが作詞したMY FIRST STORYの楽曲です。

曲の冒頭の歌詞から考察を始めます。

I’m a mess, I’m a mess
明けない夜に失いかけた声を上げて
I’m a mess, I’m a mess
振り返れない僕の心は何処へ行くの?

同曲は「I’m a mess」という中毒性のあるフレーズで始まります。

このフレーズはサビでも繰り返され、楽曲のタイトルにもなっています。

“mess”は「混乱」や「散らかっている状態」を指す言葉であり、「I’m a mess」は「私はめちゃくちゃだ」「私は混乱している」という意味になります。

曲の中で歌われる「明けない夜」や「僕の心はどこへ向かっているのか」というフレーズからは、先行きが見えずに途方に暮れている状況が伺えます。

閉ざされた世の中で
何が不要不急かも分からなくなってしまう
血塗られてるメッセージ
隠された口元じゃ何も言えないだろう?

続く歌詞では、「不要不急」という言葉が注目されます。

この言葉は、新型コロナウイルス感染拡大の際に、外出自粛や不必要な移動を避けるように呼びかけられた時期に頻繁に耳にしました。

そのため、自宅での生活が推奨された、コロナ禍の閉塞感が「閉ざされた世の中」という歌詞と重なります。

「隠された口元」というフレーズも、マスクを着用しているイメージを想起させます。

楽曲がコロナ禍の混乱を表現したものであることが、リリース時期との関連からも窺えます。

会える時間が失われていく哀しさ

楽曲の後半には、「シンデレラ」という言葉が使われている部分があります。

この表現が印象的なので、より詳細に見てみましょう。

I’m a mess, I’m a mess
聞こえる声を探し続けて辿り着いた
I’m a mess, I’m a mess
不安な medicine もっと近くで触れたいのに
泣かない 会えない シンデレラ
まだ帰る時間じゃないのに
魔法が解けていくの

「medicine」とは医学や治療、薬などを指す言葉です。

この文脈から、「不安なmedicine」という歌詞は、コロナ禍で医薬品の不足や病床の逼迫などを表現しているのだと推測されます。

また、「もっと近くで触れたいのに」という歌詞は、病院での面会が感染防止のために制限されたり、パネル越しになったりした状況を指しているかもしれません。

コロナ禍での状況を思い起こさせる表現であり、シンデレラの魔法が解けるように、会える時間が失われていく哀しさが歌詞に込められていると考察されます。

「君」という存在から希望や勇気を見いだす

最後の歌詞を詳しく見ていきましょう。

I’m a mess, I’m a mess
一人の夜は こんな想いが溢れていく
I’m a mess, I’m a mess
余裕の negative 同じように苦しめられて
要らない 出れない 宣言だって
何度 繰り返せばいいの?
もう意味なんて無いよな

不要不急の外出を避けなければならないコロナ禍の中で、孤独な状況に苦しむ様子が表現された歌詞と解釈されます。

楽曲全体を通して、「一人の夜」という言葉が何度も登場します。

この孤独さから、不安や気持ちの沈みが増幅され、「I’m a mess」という状態に陥ってしまうのかもしれません。

I’m a mess, I’m a mess
どんな世界も君と歩いて行けるのなら…

その混沌とした状態の中で、唯一の光となる存在は、やはり「君」です。

この「君」は、歌詞の主人公にとっての大切な人として捉えられるだけでなく、聴き手自身を指す言葉としても解釈できます。

自分にとって大切な人や会いたい人を思い描きながら聴くこともできますね。

困難な状況や複雑な感情に共感し、その中で「君」という存在から希望や勇気を見いだすことができる、そんな音楽と言えるでしょう。