“Honey(ハニー)”の歌詞を詳しく解釈してみたいと思います。
ウェブ検索で「Honey 歌詞 意味」と検索すると、結婚、精神病患者、などが出てきますが、これらは正確ではありません。
ラブソングではない
“Honey”の意味は、一般的には「愛しい人」という意味です。
この言葉は、アメリカなどで母親が子供に親しみを込めて呼びかける際に使われたり、恋人同士が愛情を示す言葉としても広く知られています。
1990年代後半にリリースされたこの曲は、ラルク・アン・シエルの全盛期に位置し、彼らの音楽が広く受け入れられていた時期でした。
この曲について、一部の人々はラブソングとして受け取っている一方で、他の人々は精神病患者と恋人が心中する曲と誤解していることがあります。
しかし、実際にはこの曲の意図は全く異なります。
子供時代のビジョンや純粋な信念
まず結論から述べると、この歌詞は、Hydeさん自身が夢を追い求め、音楽の世界で成功する道を選んだ際の内面的な葛藤を表現しています。
彼は幼少期に抱いていた夢を実現した一方で、音楽業界が当初の夢とは異なる厳しい現実を抱えていることに対する苦悩が描かれています。
この歌詞の主人公はHydeさん自身であり、彼は成功したものの、その成功とは異なる価値観や困難に直面しています。
彼は自身の幼少期に夢見ていた純粋な情熱を失わず、過去の自分に対して「どんな困難も希望を捨てずに乗り越えてほしい」と訴えているのです。
そして、「Honey So Sweet信じてほしい。この世界が嘘でも…」という歌詞は、幼少期に夢を追いかけ、音楽に情熱を傾けていた自分自身に向けられた言葉であることを示しています。
ずっと眺めていた。遠く幼いころから。
今も色褪せたその景色は真っ白な壁に飾ってある
「ずっと眺めていた」は、夢を実現した自身を指し、「遠く幼いころから」は、子供の頃からずっとそうだったことを示しています。
そして、「今も色褪せた」は、過去の記憶や感覚が少しずつ薄れていくことを表現し、「その景色」は、かつて憧れた風景や理想の状態を指します。
「真っ白な壁」は、自分の内面における特別な場所や純粋な想いを象徴しています。
Hydeさんはおそらく、日本の音楽業界に失望した可能性があります。
特に商業的な側面やお金の重要性が、彼が夢見た音楽の場所とは異なるものとして感じられたのかもしれません。
この現実に直面する中で、子供の頃に描いた理想的な景色が次第に薄れ去る感覚に襲われたでしょう。
それでも、その感覚を捨てることができず、それを自分の内面、心の中に大切に保持した可能性が高いです。
乾いた風を絡ませ、あなたを連れてくのさ。
Honey so Sweet 信じてほしい。
この世界が嘘でも。I want to fly, waiting for sunrise
「乾いた風」は、無味乾燥な現実世界を指しており、「あなたを連れてくのさ」は、かつての自分がその現実に取り込まれつつあることを示しています。
「Honey so Sweet」は、まだ何も知らない純粋な自分を指し、「信じてほしい、この世界が嘘でも」は、絶望せずに希望を持ち続ける呼びかけを表現しています。
そして、「I want to fly」は、この現実から逃れたいという強い願望を示しており、「waiting for sunrise」は、希望を抱きながら待ち続けていることを意味しています。
音楽の世界が夢のある場所ではなく、無味乾燥な数字の世界に変わったことが、この歌詞で表現されています。
主人公は自身が成功し、商業ロックの価値観に染まっていく自分自身を描写しています。
そして、この世界の厳しさにも関わらず、純粋な自分自身に対して、絶望しないでほしいという強いメッセージを送っています。
しかし、現実は苦難に満ちており、それに逃れるために「I want to fly」という願望が表れています。
Flyを「逃避」と捉えることで、その強い願望をより明確に示しています。
転がってゆく道で少しいかれただけさ。
深い痛みは取れないけど、そんな哀しい目をしないで。
「転がってゆく道で」は、自分の内面でさまざまなものが崩れ去る過程を指しており、「少しいかれただけさ」は、少し病んでしまい、ヤケになってしまったことを示唆しています。
そして、「深い痛みは取れないけど」は、この傷が永遠に癒えない可能性があることを表現しています。
「そんな哀しい目をしないで」は、自分のダークサイドに取り込まれつつも、その姿を悲しまないでほしいという願いを伝えています。
この歌詞は、好きな仕事に就いたものの、想像していた世界とのギャップに苦しんでいる状況を描写しています。
夢が壊れつつある感覚に陥り、ヤケになっている自分を、子供時代の自分が見つめているという場面が表現されています。
この対話から、主人公は過去の自分に向かって、「夢を叶えた結果、こんな状況になるのか?」と問いかけられ、同時に「絶望しているけれど、悲しまないでほしい」という思いを伝えていることが伝わってきます。
自分の内面での葛藤やダークサイドに取り込まれながらも、初心に戻る意志を示しています。
いつでもいつでも 甘い甘い笑顔にとけていたい
運命が僕をつかんで、あたりはかすんでいくけど
ふさがないで聴こえるだろう。あの場所が呼んでいる
「いつでも…甘い笑顔に」は、幻想的な世界にずっと浸っていたいという願望を表現しています。
「運命が僕をつかんで」は、周囲の圧力に逆らえず、運命に引っ張られていることを示唆しています。
そして、「あたりはかすんでく」は、周囲の現実がぼんやりとしてきていることを描写し、「ふさがないで」は、現実から逃げずに立ち向かうように訴えています。
この歌詞からは、子供時代の純粋なHydeが発言するかのような部分が「ふさがないで」以降に見受けられます。
大人になったHydeが、自分自身に対して、今の自分だから伝えることができる重要なメッセージを必死で伝えようとしているようです。
この対話を通じて、子供時代のビジョンや純粋な信念を思い出し、再びそれに向かって進もうとしていることが表現されています。
好きなことを追求しながらも、現実の要求に応える
「Honey」の歌詞をまとめると、大人になる過程で「社会」という現実と葛藤し、それを受け入れていく自分が描かれています。
同時に、子供時代の「希望」や「夢」が薄れていく過程に対する苦しみや葛藤も表現されています。
この歌は、現実の世界に身を置きながらも、純粋な自己を保ち、過去の自分が今の自分を見ているイメージが綴られています。
そして、その自己対話を通じて、どんな言葉を投げかけられるかが探求されています。
最近、多くの人が「好きなことを仕事にしたい」と考えている中で、仕事として「好きなこと」を追求することには、お客様や市場の要求に合わせる必要があることが挙げられます。
アーティストやクリエイターにとって、作品を商品として提供することは新たな視点を要求します。
この過程には一定の妥協が必要で、その妥協を受け入れることが大切です。
しかし、その妥協を受け入れつつも、自分の個性や情熱を忘れずに、オンとオフを切り替える柔軟さが求められます。
自分自身に対して「Honey」のような純粋さや情熱を持ち続けることで、好きなことを追求しながらも、現実の要求に応えることができるのかもしれません。