ノリの良いポップなサウンドと辛辣で鋭い歌詞が特徴のロックバンド、go!go!vanillas(ゴーゴーバニラズ、通称・バニラズ)。
今回は、彼らの楽曲「エマ」のタイトルと歌詞の意味にスポットを当ててみましょう!
MVも必見
この楽曲は2014年8月にタワーレコードの限定シングルとしてリリースされました。
また、最初のメジャーアルバム「Magic Number」にも収録されています。
この楽曲のタイトル「エマ」は、女の子の名前のように聞こえるかもしれませんが、実際には英単語の”emergency”(緊急事態)からインスパイアされています。
この曲は、単なる楽しさだけでなく、バンドメンバーがしっかりとメッセージ性を込めた楽曲を作りたいという思いが込められています。
自然な流れで体が踊り出すようなダンスチューンは、まさに緊急事態のような状況を表現しています。
「ゴーゴーバニラズが嫌い」とつぶやく少女が、同時に彼らの楽曲に合わせて楽しそうに踊る姿が魅力的なミュージックビデオです。
ストーリーは学校を舞台にしており、彼女は元気な制服姿を披露しています。
この少女はAyana(彩奈)ちゃんという、K-POPコピーダンスユニット『CHAMMY』の一員です。
ポップなサウンドに込められたメッセージ
それでは歌詞をじっくりとご覧いただきましょう。
特に注意していただきたいのは、輝くポップなサウンドの中に込められた、心に響くメッセージです。
始まりのチャイム 空をかけてくほど 白黒のライフ 色をつけていくよ
モノトーンな毎日に心が重くなることがありますが、音楽はその中にカラフルな彩りを与えてくれる存在です。
同じように、彼女も日々の憂鬱さを音楽で紛らわせています。
きっとハレとケ、祭り暮らしがごっちゃになって
電脳の海岸をただ彷徨ってるんでしょ?
「ハレ」と「ケ」、晴れやかな日と逆境にある日々を指します。
このような日々が混在していて、自分の気分ではなく、メディアが流すトレンドや流行によって音楽を変えることがあります。
その結果、ただ彷徨うような気持ちになるリスナーになってしまうことがあるのかもしれません。
もうハウスナンバーうろ覚えで行くとこないなら
ここに来いよ まだ足りないんだ 愉快な遊びがね
ハウスナンバーは「居住地の番号」を指します。
この歌詞のコンテキストでは、欲しい音楽の楽曲名に言い換えることができます。
メディアに流される一時の流行曲ではなく、私たち自身の信念に基づくダンスナンバーを聴いて踊って進んでいこう、というメッセージが込められているように聞こえます。
危機的興味本位を 刺激的ニューウェイヴを
見たい方に理想と本当の 答えはあると思うよ
自分自身の興味や刺激が、他人に操られていないか、制御できなくなっていないか。
自分が見たいものや聴きたいことが、外部の影響でコントロールされていないか。
このような緊急性が、この歌詞には含まれています。
おしまいのサイン 気に留まらないほどの
深夜1時のXTC この手に取ったポップ知るとどうだろう?
XTCは英国のバンドです。
彼らのブリットポップのパイオニアとされるサウンド。
バニラズの楽曲には大きな影響が感じられます。
そのポップなサウンドを無意識に楽しむ中に、深いルーツと意味が流れています。
こうした背景によって、音楽を楽しむことにも深い意味が宿っています。
いっそ 独占されたそのスペクタキュラームービー
皆で観れたらさぞ盛り上がるでしょう
ハウるまで遠く マスターを振り切ったんなら
まやかしの日々はもういらない あなたを待ってるよ
「スペクタキュラームービー」とは、華やかで見応えのある映画を指します。
しかしこの歌詞の中では、単に華やかで壮観なだけの映画、という意味で使用されているようです。
「まやかしの日々」とは、楽しみのためだけに提供されるエンターテイメントに惑わされた日々を指します。
本当にあなたが望むもの、感じたいものを見つけたならば、そんなまやかしは必要ない、と彼らは歌っています。
目が覚めていく その前に 不思議な歌を思い出して
瑠璃色の夜明け 夢の終わりが近づいて 儚く消えていく
一般的には注目されていない、友達も知らないような音楽が、どういうわけか心に響くことがあります。
実際、その音楽こそがあなたが本当に楽しむべきものかもしれません。
その内なる声に耳を傾けることで、あなたが真に求めているものが明らかになるかもしれません。
そして、そのような感覚を引き起こす音楽を奏でるのがバニラズだからこそ、初めに「嫌い」とつぶやかれたのかもしれませんね。