【チロルとポルノ/クリープハイプ】歌詞の意味を考察、解釈する。

『クリープハイプ』は非常に人気が高く、これまで数々のヒット曲を生み出し、邦楽ロックシーンをけん引してきました。
その中でも、彼らの楽曲の中で「秘境の名曲」と言われているのが「チロルとポルノ」です。
この曲にはどのような物語が歌われていているのでしょう。
歌詞の意味を考察してみましょう。

「あなた」をまだ忘れていない

「チロルとポルノ」は、「クリープハイプ」が2012年に発表したアルバム「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」に収録されている楽曲です。
この曲は当初から非常に人気がありましたが、実は同曲はバンドがインディーズ時代にリリースしたアルバムにも収録されており、長年愛され続けているファンにとって特別な一曲となっています。

「チロルとポルノ」の歌詞には、元カレを忘れられない女性の気持ちが歌われています。
早速、その歌詞を詳しく見てみましょう。

毎日毎日 働いていたら あなたの名前の漢字を忘れた
中古の本を4冊も買ってしまった 忙しくて読む暇もないのに

主人公は仕事が忙しく、手に入れた本を読む余裕がありません。
歌詞には「あなたの名前の漢字を忘れた」という一節が登場しますが、この部分から、「あなた」との別れが主人公に寂しさをもたらし、それを紛らわすために忙しく働いている可能性が浮かびます。
ただし、「名前を忘れた」という事実に気付いたことは、主人公が「あなた」をまだ忘れていないことを示唆しています。

あたしのアップの写真を送るから お腹が空いたらチンして食べてね
中学生がタバコを吸っているのを見ると 何故かあなたのこと思い出すんだよ

最初の行は内容が適切でないため、詳細についてはご想像にお任せします。

2行目からは、彼の性格に関する洞察が示されています。
中学生がタバコを吸っていると、彼にとって思い出深い瞬間となるようです。
このことから、彼が少し大人びたことを経験したり、かっこいいと感じたりした可能性があることが窺えます。

一夜限りの浅い関係であった可能性

声が聞こえた方を向いてみるけど
声が聞こえた方を向いてみるけど 何でもない

声を呼ばれた気がして、周りを見回すも誰もそこにはいない。
主人公は「彼がいるかも」と期待していたので、失望感が大きかったことでしょう。
彼を思っていることが曲中で示唆されており、その当時から主人公は相当に深い感情を抱いていた可能性があります。
彼の存在が突然なくなってしまったことを考えると、非常に切ない出来事であったことが伺えます。
主人公と彼との関係についての詳細は歌詞からは分かりませんが、彼に対する深い感情や期待が歌詞を通じて表現されています。

通り雨 あたしを濡らしては 大事な物を見透かされたようで
声には出さないけれど 悲しくなって泣いてしまった

歌詞中の「通り雨」という表現は、実際の瞬間的な雨だけでなく、彼の存在をも指し示している可能性があります。
この視点から考えると、「通り雨」は短い間に訪れ、急に去ってしまう出来事や、儚い恋愛関係を象徴しているのかもしれません。
主人公と彼の関係が急速に始まり急速に終わった、一夜限りの浅い関係であった可能性も考えられます。

「大事な物」とは

楽曲の後半から終盤にかけて、Bメロとサビの部分が繰り返し演奏され、曲は終了します。

声が聞こえた方を向いてみるけどね
声が聞こえた方を向いてみるけど 何でもない

通り雨 あたしを濡らしては 大事な物を 見透かされたようで
声には出さないけれど 悲しくなって泣いた
通り雨 あたしを濡らして 大事な物を見透かされたようで
声には出さないけれど 悲しくなって泣いてしまった

歌詞の中で注目すべき部分は、「大事な物」というフレーズです。
通り雨や彼との短い恋愛関係が、主人公の内面に関わる「大事な物」を浮き彫りにした可能性があります。
この「大事な物」とは、恋愛感情ではなく、むしろ主人公が自身の弱さや依存性に気付いたことを指しているかもしれません。
彼との関係を通じて、主人公は自身の弱点を垣間見、それが原因で悲しみや涙を流すことにつながったのかもしれません。
しかし、最終的な解釈は作詞者である尾崎世界観によるものであり、聴衆がその意味を楽しむ余地があります。

強くなる一歩を踏み出すきっかけ

これまで、クリープハイプの「チロルとポルノ」について考察しました。
もし主人公が自身の弱さに気づき、涙を流す瞬間が歌詞に込められているのであれば、それは一種の成長を示すものかもしれません。
失恋や辛い経験から立ち直る過程を表現している可能性もあるでしょう。
元恋人を忘れない人にとって、この曲の世界に浸ることは感情を共感し、癒しを見つける手助けとなるかもしれません。
泣いてしまうこともあるかもしれませんが、同時に強くなる一歩を踏み出すきっかけともなるかもしれません。