BUMP OF CHICKEN「シリウス」とは?楽曲の基本情報と背景
「シリウス」は、BUMP OF CHICKEN(バンプオブチキン)が2018年9月24日に配信限定シングルとしてリリースした楽曲です。
その後、同年11月14日に発売されたトリプルA面シングル「話がしたいよ / シリウス / Spica」に収録されました。
さらに、2019年にリリースされたアルバム『aurora arc』にも収められています。
本楽曲は、アニメ『重神機パンドーラ』のオープニングテーマとして書き下ろされたもので、BUMP OF CHICKENらしいエモーショナルなメロディと疾走感のあるバンドサウンドが特徴です。
制作背景
「シリウス」は、藤原基央がアニメ『重神機パンドーラ』のタイトルとビジュアルを見た際に「これはカッコいい!」と直感的に感じたことがきっかけで制作が決まりました。
ツアー「PATHFINDER」の最中に曲作りが進められ、2017年12月頃に完成。
ライブツアー中のエネルギーが反映されつつも、緻密な楽曲構成が施された一曲となっています。
また、本作はタイアップソングであるものの、歌詞はアニメのストーリーと直接的にはリンクせず、「自身の内側にある光と向き合う」というテーマが込められています。
タイアップ楽曲でありながらも、BUMP OF CHICKENの哲学的な歌詞がしっかりと息づいている点が特徴です。
「シリウス」というタイトルの意味とは?一等星に込められた想い
シリウスとは?
シリウスは、おおいぬ座のα星であり、地球から見える恒星の中で最も明るい星として知られています。
古代から「道しるべの星」として航海や旅の指標として使われてきた歴史があります。
藤原基央は、楽曲のタイトルを「シリウス」とした理由について「感覚的に光量のイメージから出てきた言葉」と語っています。
つまり、楽曲の世界観とアニメのストーリーに寄り添った結果ではなく、純粋に「光を放つもの」としてシリウスが選ばれたのです。
光が示す道標
「シリウス」は、過去の人々が方角を知るために見上げた星であり、それは「希望」や「目印」としての象徴でもあります。
本楽曲では、「誰しもが自分の中にシリウスのような光を持っており、進むべき道を見つけることができる」というメッセージが込められています。
「シリウス」の歌詞の特徴と考察—歌詞に登場しない「僕」や「君」
BUMP OF CHICKENの楽曲の多くは、「僕」や「君」といった一人称・二人称が歌詞に登場し、具体的な情景や感情が描かれる傾向にあります。
しかし、「シリウス」にはこれらの人称が一切登場しません。
これは非常に珍しい表現手法であり、リスナーに「自分自身に語りかけているような感覚」を与える仕掛けとなっています。
歌詞を通して、「語り手の存在」を消し、リスナー自身が物語の主人公になれるような普遍的なメッセージが込められているのです。
また、楽曲の最後には《おかえり》という歌詞が登場しますが、この部分だけエフェクトが掛けられており、人間の声ではない「魂の声」のように聴こえる演出が施されています。
この演出により、「シリウス」という楽曲が持つ「内なる声との対話」というテーマがより深く感じられる仕上がりになっています。
「シリウス」が伝えたいメッセージ—迷いの中で光る希望
「シリウス」の歌詞には、直接的な説明や物語性は少なく、抽象的な表現が多く使われています。
しかし、その根底には「自分自身を見つめ、希望を見出すことができる」というポジティブなメッセージが込められています。
迷いと希望
歌詞中に登場する《勇気をあげる 鏡の前》という一節は、リスナーが「自分自身と向き合う」ことを促す象徴的なフレーズです。
鏡の前で自分を見ることは、自己対話の瞬間であり、迷いながらも進もうとする意志が示されています。
また、《眼差しのシリウス》という表現からは、「誰もが自分自身の中に輝くもの(希望や指針)を持っている」ことを伝えようとしていることが分かります。
私たちは時に迷い、進む道が分からなくなることがありますが、その答えは常に自分の中にあるのです。
藤原基央はインタビューで「ただいま」や「おかえり」という言葉が持つ根源的な意味について語っています。
家に帰ることだけでなく、「自分自身に戻る」こと、そして「本来の自分を見つける」ことを表しているのではないでしょうか。
「シリウス」のMVと楽曲の魅力—ドローン撮影で生まれた疾走感
「シリウス」のMVは、映像作家・東市篤憲が監督を務め、BUMP OF CHICKENにとって初めてのドローン撮影が採用されました。
無数の光の輪が囲むセットの中で、ドローンが自由自在に動き回る映像が印象的な作品になっています。
MVの特徴
- スタジオ撮影:バンドメンバーがセンターステージで演奏する形
- ドローンによる撮影:通常のカメラでは難しいスピード感のある映像を実現
- 光と影の演出:無数の光が円を描き、シリウスの輝きを表現
この映像美は、「シリウス」という楽曲が持つ疾走感や輝きをより鮮明に伝えるものとなっています。
まとめ|「シリウス」は、自分を照らす光の歌
BUMP OF CHICKENの「シリウス」は、一見タイアップ曲に思えますが、その歌詞には藤原基央が紡ぎ続けてきた「自己と向き合う」というテーマが根底にあります。
迷いの中でも、自分自身の内側に光を見出すことができる—それこそが、この楽曲がリスナーに伝えたいメッセージなのではないでしょうか。
あなたの中の「シリウス」は、今どこで輝いていますか?