Awichと旦那の出会い：アメリカ留学中に芽生えた愛
Awichが旦那と出会ったのは、アメリカ・アトランタの短大に留学していた頃のことです。
2005年、沖縄からアメリカへ渡った彼女は、ビジネスを学びながら音楽活動を視野に入れていました。
当時のアトランタはヒップホップ文化の中心地であり、彼女にとっては学びと挑戦の場でした。
旦那との出会いは、偶然に生まれたものでした。
通学中、彼から声をかけられたのが始まりで、14歳の年齢差を超えてお互いの感性が響き合いました。
特にタトゥーデザインを通じて意気投合し、その後交際がスタート。
音楽だけでなく、独自のスタイルと文化的背景が交わることで、彼らの関係は深まりました。
彼女は大学在学中に結婚し、娘を出産します。
アトランタからインディアナポリスへ移り住み、家族としての生活を築きながら、Awichは音楽制作を続けました。
彼との愛は、彼女の音楽的創造力をさらに高める大切な基盤となりました。
旦那の素顔：ハスラー＆プッシャーとしての一面
しかし、Awichが旦那のもう一つの顔を知ったのは結婚後のことでした。
彼はハスラー＆プッシャー、つまり麻薬密売人という危険な職業に従事していたのです。
彼の仕事は多くのリスクを伴い、家族としての生活にも影響を及ぼしました。
妊娠中のAwichが旦那の逮捕を経験したのは、非常に厳しい状況でした。
刑務所から戻った後も、彼の生活は変わることなく、家族は常に危険と隣り合わせの状況に置かれていました。
夜中に発砲事件が起きることもあり、穏やかとは程遠い日々を送っていました。
それでも、Awichは旦那の人間性に惹かれていました。
彼の大胆さ、ユーモア、そして家族を大切に思う姿勢は、彼女にとって魅力的でした。
しかし、この複雑な生活が次第に家族に影を落とすことになります。
悲劇的な別れ：銃社会がもたらした悲劇
2011年、旦那は事件に巻き込まれ銃殺されてしまいました。
これは、Awichが新たな生活のため日本への移住を計画していた矢先の出来事でした。
彼女が帰国中で、旦那と喧嘩中だったこともあり、最後の会話は険悪なものでした。
旦那の死を知ったとき、Awichは深い悲しみに襲われました。
特に、彼から届いていた最後のメッセージ「I miss you and love you」が心に深く刻まれたと言います。
この悲劇的な別れは、彼女の人生に大きな転機をもたらしました。
旦那の遺言であった「自分を海に還してほしい」という願いを叶えるため、Awichは娘とともに沖縄の海に彼の遺灰を散骨しました。
この儀式を通じて彼女は心に一区切りをつけ、新たな未来への一歩を踏み出す決意を固めます。
沖縄への帰郷：家族とともに再出発したAwich
旦那を失ったAwichは娘を連れ、日本に帰国しました。
沖縄に戻った彼女は、音楽活動を一時中断しながらも制作会社を立ち上げ、地元での活動を開始しました。
この時期、彼女は過去の傷を癒しながら、新しい未来を模索していました。
沖縄での生活は、彼女にとって自らのルーツを再確認する時間でもありました。
彼女は沖縄戦や戦後の家族の物語を深く学び、それを音楽に昇華させることを目指しました。
地元の歴史や文化は、彼女の創作活動における大切なインスピレーション源となりました。
再出発の中で彼女が見つけたのは、「沖縄の心」を次世代に伝えることの重要性でした。
これが、Awichの音楽活動再開の原動力となり、後のメジャーデビューへとつながります。
音楽に込めた思い：娘と紡ぐ新たな未来
旦那を失った悲しみを乗り越える中で、Awichは娘と二人三脚で人生を歩み続けました。
その過程で、音楽は彼女の心を癒し、人生に新たな光を与える存在となります。
特に「Ashes」や「Jah Love」といった楽曲は、旦那への想いと娘への愛を表現した特別な作品です。
また、彼女の音楽には沖縄の子どもたちへの願いも込められています。
曲「TSUBASA」では、困難を乗り越えて未来へ羽ばたく姿勢を歌い、聴く人々に勇気を与えました。
娘も時折ステージに立ち、母と共に音楽を共有する姿は、彼女たちの強い絆を象徴しています。
現在、Awichは「Queendom」と題したアルバムで世界に挑戦し続けています。
その中で彼女が大切にしているのは、家族の愛や沖縄で受け継いできた強さを、音楽という形で伝えることです。
彼女の旅はまだ続きますが、その先には希望に満ちた未来が待っています。
