「ANNIVERSARY」とは?ユーミンが描く“記念日”の意味
松任谷由実(ユーミン)の「ANNIVERSARY 〜無限にCALLING YOU」は、1989年にリリースされた楽曲で、アルバム『LOVE WARS』にも収録されています。
この曲は、長年にわたって結婚式や披露宴で愛され続ける定番ソングとして知られています。
「アニバーサリー(Anniversary)」とは、本来「記念日」という意味を持ちますが、ユーミンの楽曲では単なる祝福の歌にとどまらず、もっと深いテーマが隠されているのではないかという考察が近年注目されています。
一見、結婚式の朝に相手への愛を再確認する歌のように聞こえますが、歌詞を丁寧に読み込むと「愛する人を失った後の気づき」や「過去への回想」とも解釈できるのです。
歌詞から読み解く「ANNIVERSARY」の深層:実は“別れ”の歌?
この曲の歌詞には、結婚式を連想させるフレーズが登場します。
たとえば、
「木洩れ日がライスシャワーのように 手をつなぐ二人の上に降り注いでる」
「ライスシャワー」とは、結婚式で新郎新婦に米を振りかける祝福の儀式を指します。
しかし、この歌詞を「幸せな結婚式の情景」と捉えることもできますが、別の視点で見ると「愛する人との最期の別れ」の象徴とも考えられます。
「ひとり残されても あなたを思ってる」
この一節からは、まるで「愛する人がすでにこの世にいない」ことを示唆しているようにも読めます。
もし「ANNIVERSARY」が結婚の記念日を祝うだけの曲であれば、なぜ「ひとり残される」という表現が含まれるのでしょうか?
「ANNIVERSARY」は、単なるラブソングではなく、大切な人を失った後に気づく「かけがえのない愛」の物語である可能性が高いのです。
「Autumn Park」との関連性:ユーミンが描く“愛と別れ”の物語
ユーミンの1986年の楽曲「Autumn Park」には、以下のような歌詞があります。
「どちらか先に いつかこの世を去る日が来ても 大好きなまなざしを 私はずっと覚えていたい」
この曲は、愛する人と過ごした何気ない日常の幸せを振り返る内容ですが、「いつか訪れる別れ」を暗示しています。
「ANNIVERSARY」の歌詞の中で語られる「今はわかるの 苦い日々の意味も」「遠い列車に乗る 今日の日が記念日」といった表現は、「Autumn Park」に登場する愛する人との思い出が“過去”になったことを示しているように思えます。
この二つの楽曲は、同じ物語の前後編のような関係にあるのではないでしょうか?
「Autumn Park」で語られた愛の日々が、「ANNIVERSARY」では過去として振り返られているのかもしれません。
ユーミンの死生観が映し出された「ANNIVERSARY」のメッセージ
ユーミンの歌詞には、生と死にまつわるテーマがたびたび登場します。
「ANNIVERSARY」もまた、その例外ではありません。
特に「今朝の光は無限に届く気がする」という一節は、魂の旅立ちを象徴しているとも解釈できます。
この部分を、日本の仏教的な死生観と結びつけると、亡くなった人の魂が浄土へ向かう「四十九日」の法要を連想させるものでもあります。
「いつかは会えなくなると知っていても」
この言葉は、愛する人との「永遠の別れ」を覚悟した歌詞としても読めます。
「ANNIVERSARY」は、愛する人を失った後も、その人の存在を心の中に抱き続けることの大切さを歌っているのではないでしょうか。
「ANNIVERSARY」の解釈は自由!聴き手による深読みの魅力
ユーミン自身は、自身の歌詞について「聴く人それぞれの解釈で楽しんでほしい」と語っています。
つまり、「ANNIVERSARY」もまた、聴く人の状況や価値観によって、さまざまな意味を持つ楽曲なのです。
ある人にとっては結婚式の祝福の歌、ある人にとっては愛する人との永遠の別れを象徴する歌。
こうした多様な解釈が生まれることこそ、ユーミンの音楽の魅力です。
また、平井堅の「瞳をとじて」など、他の楽曲と比較することで、新たな解釈が生まれることもあります。
「瞳をとじて」もまた、亡くなった恋人への想いを綴った歌として知られていますが、「ANNIVERSARY」との共通点を探すことで、より深い意味を見出すことができるかもしれません。
まとめ:あなたにとって「ANNIVERSARY」はどんな記念日?
「ANNIVERSARY」は、一見すると結婚式にぴったりの祝福の歌に思えますが、歌詞を深く読み込むと「大切な人を失った後に気づく愛」をテーマにしている可能性が見えてきます。
ユーミンの楽曲は、その時々の人生の状況によって、全く異なる意味を持つことがあります。
あなたにとって、「ANNIVERSARY」はどんな記念日を思い出させる曲でしょうか?
ぜひ、改めて歌詞を読み直し、自分なりの解釈を楽しんでみてください。