【別の人の彼女になったよ/wacci】歌詞の意味を考察、解釈する。

2018年8月22日にリリースされたwacci(ワッチ)の「別の人の彼女になったよ」は、リリースから数年が経過しましたが、なお人気が衰えることなく支持され続けています。
その人気の秘密は何でしょうか?
また、ボーカルの橋口洋平が込める感動的な歌詞の意味について探ってみましょう。

登場人物の状況や心境が分かりやすく描かれている

別の人の彼女になったよ
今度はあなたみたいに 一緒にフェスで大はしゃぎとかはしないタイプだけど
余裕があって大人で 本当に優しくしてくれるの

曲の冒頭から「別の人の彼女になったよ」というフレーズが登場するこの楽曲は、まるで別れた恋人が独り言を口にしているかのような雰囲気を持っています。
この歌詞は一人語りのようでありながら、その独り言は彼氏への言い訳なのか、それとも自身への内なる声なのか、想像を掻き立てます。

歌詞の内容から、彼女は以前の彼氏を振り、新しい人との恋を楽しんでいるようです。
歌詞に登場するフェスの場面は、音楽好きなカップルの姿を想像させ、登場人物たちの状況や心境が分かりやすく描かれています。

ただの彼氏自慢ではない

別の人の彼女になったよ
今度はあなたみたいに 映画見てても私より泣いてることなんてないし
どんなことにも詳しくて 本当に尊敬できる人なの

新しい彼氏は大人らしく、フェスで彼女ほどははしゃがず、映画で彼女よりも感情を露わにすることもないようです。
彼女の歌詞からは、彼女が素敵で大人な男性と関係を築いていることが伝わってきます。

この状況を聞いた元彼はおそらく未練がましくなり、涙をこらえるのが難しいかもしれません。
歌詞は男性の視点からは辛いもので、大きな敗北感を味わうでしょう。

キスや態度だけで 終わらせたりせずに
ちゃんと「好きだ」という 言葉でくれるの
怒鳴りあいはおろか 口喧嘩もなくて
むしろ怒るとこが どこにもないの

元彼は口下手だったのか、または愛を言葉にすることがあまりなかったのか、そのために彼女に愛情を伝えることが少なかったのかもしれません。
別れの原因は不明ですが、「愛している」という言葉を口にしてもらえることが、彼女にとって幸せなことだったようです。
この点でも、元彼には勝機はないようです。

もしも元彼がこのような事実を知ったら、過去の選択を後悔し、今の彼氏に対して強烈な嫉妬を感じることでしょう。

だからもう会えないや ごめんね
だからもう会えないや ごめんね
あなたも早くなってね
別の人の彼氏に

ただの彼氏自慢ではないようです。
別れた後も何かしらの理由をつけて会うカップルもいる中で、彼氏ができたからという理由で彼女はもう会えないことをわざわざ伝えているようです。

元彼がしつこく迫る可能性もゼロではありませんが、彼女自身は元彼への思いが残っているからこそ謝罪しているのかもしれません。
そして、元彼がもう悲しい思いをしないように、できるだけ早く新しい人を見つけて欲しいと切望しているようです。
彼女は優しい心の持ち主なのです。

元彼はこうした事実を知ったなら、手放してしまった貴重な人を後悔することでしょう。

過度に抑制されているよう

別の人の彼女になったよ
あなたの時みたいに すっぴんだって笑っていられる私ではなくて
一生懸命お洒落して なるべくちゃんとしてるの
別の人の彼女になったよ
あなたの時みたいに 大きな声で愚痴を言うような私ではなくて
それをすると少しだけ 叱られてしまうから
夢や希望とかを 語ることを嫌って
ちゃんと現実をね 見つめていて
正しいことだけしか 言わないから
ずっとさらけ出せず おとなしくしてるの

彼氏を誇示していた彼女ですが、2番になると様子が変わります。
彼氏は大人で優しく、確かな愛情を与えてくれる人であり、不平や不満を言うことを許容しない人です。

彼女は彼氏の完璧な面を尊重し、いつも気を抜かずにおしゃれをし、きちんとした彼女像を維持しています。
そして、彼氏の前では昔のように文句を言うこともできず、彼女はかつて元彼の前ではメイクもせず、何でも自由に話せる快適な空間があったことを思い起こします。

しかしながら、「別の人の彼女」として振る舞う際、自分のキャラクターを変えなければならない状況もあるようです。
彼女は自分を抑えておとなしく、叱られたり嫌われたりしないように振る舞っている姿が、過度に抑制されているようにも見えて、心が痛むような光景です。

時折漏れる彼氏への不満に、元彼への愛情が滲み出ている様子は切ない場面です。

一言の本音が強力な引力を持つ

彼氏ができるまでの期間、たまに元彼と偶然出会うことはあるでしょう。
お互いが足りない部分を補い合う関係は、快適なものでも長続きするとは限りません。

彼女は新しい彼氏を見つけ、幸せへの前向きなステップを踏んでいるように思われますが、実際はそうでもないかもしれません。
別れたことを後悔しているのかもしれません。

新しい彼氏は愛情を注ぎ、大人らしい魅力を備えていますが、人間的な面で彼女とはうまく合わないように見えます。
彼女自身、自分が無理をしていると感じているため、時折独り言のようになって元彼を思い出してしまうのかもしれません。

だからもう会えないや ごめんね
だからもう会えないや ごめんね
あなたも早くなってね だけど私はズルいから
だからもう会いたいや ごめんね
だからもう会いたいな ずるいね
あなたも早くなってね 別の人の彼氏に
私が電話をしちゃう前に

最初は「もう会えない」と言っていた彼女が、最近になって「もう会いたい」と口にしています。
自分の矛盾を自覚しつつも、感情が抑えられないため、どうにか制御しようと奮闘し、早く新しい相手を見つけてほしいと切望しています。

実は彼女は復縁を望んでいる。
そしてまだ相手を想っているのです。
「私が電話をしちゃう前に」という言葉は非常に印象的です。
この曲を聴いた人々は、最後の強烈な言葉に心を打たれることでしょう。

一言の本音が強力な引力を持つ、wacciの素晴らしい楽曲と言えます。
男性でありながら女性の気持ちに共感する歌詞は、橋口のセンスに敬意を表します。

非常にリアルなカップル像

『別の人の彼女になったよ』は配信から数年経ってもなお人気を維持しています。
その理由は、非常にリアルなカップル像や、失恋経験のある多くの人が抱く感情を描いた普遍性にあります。

この歌詞は誰もが共感できる内容であり、多くの人に心に響く要素があるからこそ人気を集めています。
彼女の元彼に対する感情は、女性であれば痛いほど理解できるものです。

このテーマはシンプルでありながら、多くの人々が共感することができるため、非常に高い人気を誇っています。
彼女が今の彼氏の前で自分を押し殺し、「私、幸せだよね?」と自問する痛々しさや、自分がズルいと認めながらも元彼に会いたいという素直な気持ち。
女性は共感し、男性は胸がキュンとなる、最高のラブソングと言えるでしょう。