今回おすすめする楽曲は、Ado(アド)さんの「唱(しょう)」です。
この歌の印象的な歌詞に込められた意味を考察し、曲が伝えたいメッセージの本質に迫ります。
聴き込むほどに中毒性の高い楽曲
Adoさんのこの曲は、2023年9月6日にYouTubeなどで解禁されました。
この楽曲は、社会に大きなインパクトを与えた「踊」のような雰囲気を感じさせます。
実際、この曲も「踊」と同じクリエイターによって制作されました。
初めてこの曲を聴いたとき、筆者は「般若心経」を思い浮かべました。
歌詞やビートが、「この世を構成するすべては空にあり実体のないもの。それは人の肉体や感覚も同じ。だからすべてのことにこだわりを持たず、欲望から離れることで悟りを得て涅槃へと至ることができる」といった般若心経の教えに似た思いを表現しているように感じられました。
エキゾチックなビートの中で三味線の音色に似たメロディーが聴かれることも、この印象を強める要因の一つと考えられます。
どちらにせよ、聴き込むほどに中毒性の高い楽曲だと筆者は考えています。
令和スタイルの「読経」
歌詞の総合考察に入る前に、まずは歌詞全文をご紹介します。
Nah-Nah-Nah-Nah-Nah、Ready for my show
Okay たちまち独壇場 Listen listen
Nah-Nah-Nah-Nah-Nah、Ready for my show
傾け振り切ろう
ヤーヤーヤーヤーヤー 唱タイム
天辺の御成りほらおいで
宵をコンプリートオーライ Hell yeah yeah yeah yeah
だんだんノリノリで超簡単 Brah brah brah!!! Pow
えも言われない Ain’t nobody stop
全土絢爛豪華Attention騒ごうか
意思表示にもうじき衝撃の声高らか堂々登板
もう伽藍洞は疾っくの疾う淘汰
Aye繚乱桜花 御出ましだ
格好つけてるつもりはNO NO
オートマティックに溢れちゃう本能
宣う断頭台の上で 燥げ華麗
Da rat a tat…WARNING!
Nah-Nah-Nah-Nah-Nah、Ready for my show
バンザイ 遊ぶ気に寿 Shout it out, Shout it out
Nah-Nah-Nah-Nah-Nah、Ready for my show
はんなり感情通りに八艘飛び Shout it out, Shout it out
(Hey uh) 食らっちゃいな
(Hay ha) Rat tat tat tat tat (Pull up)
(Hey uh, wa wa wa) 満開 総員一気にとびきりJump around
Look at me now
皮膚を破りそうな程に跳ねる心臓くらい激情的仕様 (Exotic vox)
イニミニマニモご来場からのご来光
かくれんぼしてるその気持ち解放(理性アディオス)
しゃかりきじみちゃう
蛇腹刃蛇尾 騙る二枚刃
野心家嫉妬するようなジュース
たぶらかすなかっとなっちゃ嫌
カルマに至る前に揺蕩うわ
蛇腹刃蛇尾 騙る二枚刃
野心家嫉妬するようなジュース
たぶらかすなかっとなっちゃ嫌
十色のバタフライ (No escape)
ご存じの通り騒々しい鼓動に絆されてもう止まれない
衝動に塗装し描いた Daybreak肺貫通低音狂
Nah-Nah-Nah-Nah-Nah、Ready for my show
異例の危険度 比類なき活気充満
Nah-Nah-Nah-Nah-Nah、Ready for my show
いちかばちか 鳴呼
Nah-Nah-Nah-Nah-Nah、Ready for my show
バンザイ 遊ぶ気に寿 Shout it out, Shout it out
Nah-Nah-Nah-Nah-Nah、Ready for my show
喝采 巻き起こすためにStay
一切合切忘れて Shout it out
Aye wah oh oh oh
右に左 まとめて Rat a tat a tat (Pull up)
思いっ切り一気に (Clap Clap Clap)
なにはともあれ ご唱和あれ
Shout it out, Shout it out
楽曲のタイトルである「唱」は本来、「唱える」や「節をつけて歌う」といった意味がありますが、この曲からは「宴(Show)」といった意味合いも感じられます。
同時に、「諳んじる(何も見ないで言えるように暗記する)」といった意味も含まれており、現世に存在する不条理や問題に対して、参加者が自分の感情を叫び(Shout)や表現する「宴(Show)」を象徴している可能性があります。
この視点をもとに、現実の世界を考察すると、筆者は以下のように感じます。
企業化された政府のもとで行われる「破壊的な増税とお情け程度の補助」や「外では浪費、内では緊縮」といった横暴が、何のストッパーもなくまかり通ってしまう混沌とした状況が、現実の世界を特徴づけているのではないかという印象があります。
報道で伝えられる「国民負担率50%弱」といった数字を見て、どんなに頑張っても報われない社会を生きる人々にとって、心から頼りになるものが「望みを捨てずに1人1人が願いを叶えるために言動に移すこと」であると感じます。
この点が「安寧を求めて祈ること」の出発点であり、この楽曲の歌詞が神代から伝わる「お経」のようなものであると仮定すると、この歌を「唱」えることで、心のざわつきを鎮め、前向きな活力を得ることができると考えられます。
総じて、筆者はこの歌が、混沌とした世界を安寧へと導く令和スタイルの「読経」として、現実に伝えたいメッセージの本質を表現していると感じました。