【人生の扉/竹内まりや】歌詞の意味を考察、解釈する。

今回、おすすめしたい楽曲は竹内まりやさんの「人生の扉」です。
この曲の歌詞に込められたメッセージを解釈し、現実の私たちに対する大切な意味を共有します。

「人生」という長い旅路

この曲は竹内まりやさんの10枚目のアルバム「DENIM」のラストに位置しており、2007年に発表されました。
同じ年には35枚目のシングル「チャンスの前髪」との両A面としてもリリースされました。
曲は美しいピアノソロから始まり、後半ではさまざまな楽器の音色が絡み合い、コーラスも加わります。
この楽曲は「人生」という長い旅路に向けた讃えの歌として、聴く人々の心に深く訴えかけます。
曲の3拍子のリズムは、ワルツを思わせ、愛する人と共に踊っているかのような優雅さを伴いながら、人生の奥深さを感じさせます。
このような素晴らしい楽曲でしょう。

理想的な人生の進め方

それでは、歌詞の考察に入ります。
歌詞全体が「人生の歩み」をテーマにしており、特に1番のAメロとBメロに焦点を当ててみましょう。
(マーカー部分の歌詞に注意してお読みください)

春がまた来るたび ひとつ年を重ね

目に映る景色も 少しずつ変わるよ

陽気にはしゃいでた 幼い日は遠く

気がつけば 五十路を越えた私がいる

信じられない速さで時が過ぎ去ると

知ってしまったら

どんな小さなことも覚えていたいと

心が言ったよ

この世に誕生し、多くの笑顔と愛に囲まれながら成長し、恋の予感や情熱的な愛の鼓動を感じ、大人へと歩みを進め、最愛の人と結ばれて、命を共にする日々を過ごしてきました。
これらの瞬間は、私の人生における貴重な記憶です。
これらの瞬間を共に築いてくれた人々がおり、今の私が存在しています。
長い年月が経ったように感じることもありますが、時折、それらの思い出が私の心に残り、私に新たな人生の楽しみを提供してくれるかのようです。

それでは、2番のAメロとBメロの部分についても考察を進めていきます。
(マーカー部分の歌詞に注目してお読みください)

満開の桜や色づく山の紅葉を

この先いったい何度見ることになるだろう

ひとつひとつ人生の扉を開けては

感じるその重さ

ひとりひとり愛するひとたちのために

生きてゆきたいよ

これまで、何度も人生の転機がありました。
時には悩みや不安に取り囲まれ、行動できない日々や、打ちのめされて悲しむ日々も経験しましたが、常に愛する人々が私のそばにいてくれたおかげで、それらの試練を何とか乗り越えてきました。
自分が何度も迷子になりながら前進しているこの旅路で、優しい笑顔と変わらぬ愛で支え続けてくれた人々に、今度は私が恩返しをしなければならないと感じます。
みんなが与えてくれた以上の笑顔と愛を贈りたいと思っています。

最後にサビの部分に注目します。
この部分には、さまざまな年齢層の人々の感情が詠み込まれているように感じます。
一緒に見てみましょう。

I say it’s fun to be 20 

(若さと行動力で夢に向かって進む20代って楽しい) 

You say it’s great to be 30

(1つ1つの経験が自信につながる30代って素晴らしい)

And they say it’s lovely to be 40

(優しさと包容力が魅力的な40代って素敵)

But I feel it’s nice to be 50

(このまま50代を迎えられたら良いんだけど…)

I say it’s fine to be 60

(まだまだ現役!活力漲る60代)

You say it’s alright to be 70

(健康に気を配りながら元気に過ごす70代)

And they say it’s still good to be 80

(このまま元気に80代を過ごしたい)

But I’ll maybe live over 90

(それができれば90歳を過ぎても生きていられるだろうけど…)

人生は多彩で、異なる生き方が当然とされています。
筆者は、すべての人生が素晴らしいものであると考えています。
この曲は、おそらく「理想的な人生の進め方」を表現しているのかもしれません。
筆者がこの歌から受け取るメッセージの本質を、理想の人生の歩み方と結びつけ、次の章で詳しく探求しようと思います。

「いきる」意味

歳を重ねると、時間が過ぎるのが速く感じることがあります。
多くの人が経験していることでしょう。
「明けましておめでとうございます」と言ったのがつい最近のように思えても、季節の変化は驚くほど速いものです。
また、やらなければいけないことが多すぎて、時間がどれだけあっても足りないように感じることもあります。
このような切迫感を感じながらも、実際には特に慌ただしい状況でもないこともあり、一日が終わりに近づくことに気づくときがあります。
筆者自身も、この歌詞の中で触れられているように「五十路を過ぎている」ため、これまでの人生を振り返る感情が湧き上がります。
しかし、今日の多忙さや現在の状況によって追い詰められたり、悩みや不安に囚われたりしている多くの人々がいる中で、若い世代などは自身の人生についてあまり深く考えないこともあるかもしれません(これは一般的な見解であり、全ての人に当てはまるわけではありません)。

そして、この曲が提起しているキーワードの一つが「いきる意味」です。
ここで「いきる」という言葉には2つの意味が含まれています。
一つは「生きる」という意味であり、命を保つこと、生存することを指します。
もう一つは「活きる」という意味で、自身の良さや特性が最大限に発揮され、思考や行動に意味があることを示します。
これらの意味には微妙な違いがあり、この楽曲が私たちに「生きる意味」と「活きる意味」について考えさせてくれるという点が特徴です。
このメッセージは、曲のブリッジ部分から大サビにかけての歌詞に込められています。

君のデニムの青が褪せていくほど味わい増すように

長い旅路の果てに輝く何かが 誰にでもあるさ

「時間の経過とともに古びるのではなく、いくつもの朝と夜、季節を越えて成長し、円熟味を増す」と捉えることができます。
これまで歩んできた道程には、さまざまな試練や波風があったかもしれませんが、過去、現在、そして未来においても、私たちは「いきる」という喜びを輝かせ続けたいと願っています。

I say it’s sad to get weak

(私が「弱くなって行くのは悲しい」と言うと)

You say it’s hard to get order

(あなたは「年をとって行くのはつらい」と言う)

And they say that life has no meaning

(そしてみんな「人生には何の意味のない」と言うけれど)

But I still believe it’s worth living

(それでも「生きることは価値がある」と私は信じている)

将来、「力が衰え、足腰が弱く、物忘れがひどくなる」などの兆候が出るかもしれません。
歳を重ねることに対して憂いを感じる瞬間もあるでしょう。
しかし、ただ老いを受け入れるのではなく、人生の歩みに刻まれた数々の思い出が「年輪」として存在していることに目を向け、これまで通り、そしてこれからも、自分自身を愛し、支えてくれる人々と共に人生を楽しんでいきたいと思います。
最後のフレーズからは、「いきる」意味が、愛する誰かの「いきる」意味に繋がっていることが伝わってきます。
この中での「いきる」には、一般的に「生きる」または「活きる」の両方の意味が含まれており、その違いは次のように考えることができます。

「活きる意味」とは、常にアクティブに行動し、心を躍らせながら楽しく過ごすことです。

一方、「生きる意味」とは、どんな状況でも自分を愛し、仲間を愛し、やさしさとぬくもりの中で穏やかに過ごすことです。

年齢によって考えると、40代までは「活きる意味」が主要であり、50代を過ぎると「生きる意味」が強調される傾向があるかもしれません。
しかし、これらの要素が調和しないと、また異なる「イキる」の意味になることもあるでしょう。

最終的に、人生で最も大切なのは「まごころ」と「愛」であり、それに加えて「感謝」「労り」「支え合い」の心を持つことです。
これらの要素を組み合わせ、2つの異なる「いきる」の意味を兼ね備えた人生を実現することが、理想的な人生の歩み方だと考えます。
そして、この歌が伝えたい現実の核心は、このような価値観を共有し、人生を共に謳歌していくことです。