【ハナミズキ/一青窈】歌詞の意味を考察、解釈する。

2002年にシングル「もらい泣き」でデビューした一青窈(ひととよう)は、その独特な歌詞で多くのファンを魅了し、その後、5枚目のシングル「ハナミズキ」が大ヒットを記録しました。
この記事では、「ハナミズキ」という曲について紹介します。

この気持ちが、多くのことを変える可能性がある

「ハナミズキ」は、アメリカ同時多発テロ事件が発生し、一青窈が友人のニューヨークからのメールを受け取った際に、感情を込めて一週間ほどで書かれた歌詞です。
彼女はテレビ画面に映る悲劇に心を痛め、その想いをA4用紙3枚に詠み込みました。

歌詞を書いた当初、テロ、散弾銃、ミサイルなどのリアルで衝撃的な単語が含まれており、一青窈はそれを「挑戦的な詞」と表現しています。
自身のテロへの感情をすべて吐き出した後、詞を洗練させ、最終的に「君と好きな人が百年続きますように」という言葉に辿り着くまで削減していきました。


空を押し上げて
手を伸ばす君 五月のこと
どうか来てほしい
水際まで来てほしい
つぼみをあげよう
庭のハナミズキ

この歌において、一青窈はテロに対する怒りの連鎖を止めるため、祈りを込めて制作しました。
9.11の出来事が発生したニューヨークは、その水辺の都市の特徴があり、一青窈には当時の出来事が「客船タイタニックの事故」と結びついたようです。
多くの人が逃げ惑う光景は、タイタニックの事故との類似性を持って見えたのかもしれません。

船が沈む中、救命ボートに乗れるチャンスが巡ってきた際、彼女は「自分と愛する人が生き残る」というよりも、「愛する人とその人が愛する人が生き残る」ことを願う気持ちを共感し、それが多くのことを変える可能性があると感じました。
この思いを歌詞に込めたのです。

薄紅色の可愛い君のね
果てない夢が ちゃんと終わりますように
君と好きな人が百年 続きますように

平和を祈る歌

9.11の出来事が発生した夏、複雑な感情に満ち、多くの人々が犠牲になりました。

「ハナミズキ」には、未来への希望を繋げ、世界からテロがなくなる可能性を信じる気持ちが込められています。
一青窈は、「君と好きな人」を優先的に安全な場所に連れて行けるような願いを歌に込めました。
その歌詞一つ一つから、彼女の平和への強い思いが伝わってきます。

この歌は、大切な人々を思いやり、彼らの幸せを願い、平和を祈る歌として、再び聴いてみる価値があるでしょう。