【Your Song/LOVE PSYCHEDELICO】歌詞の意味を考察、解釈する。

デビュー時に、独自の音楽スタイルで日本の音楽シーンに大きなインパクトを与えたバンド、LOVE PSYCHEDELICO(ラブサイケデリコ)。
個性的なKUMIのボーカルと、リフに富んだNAOKIのギターは、他にはない魅力を放っていました。
今回は、彼らのセカンドシングルで、今でもライブで欠かせない代表曲である「Your Song」に焦点を当ててみましょう。

全体的に抽象的な表現が多い

ご承知の通り、「Your Song」はLOVE PSYCHEDELICOの他の楽曲と同様、日本語と英語が絶妙に組み合わさっています。
この要素は、LOVE PSYCHEDELICOの魅力の象徴であり、彼らのかっこよさを際立たせています。


既によく知られていますが、LOVE PSYCHEDELICOのボーカル、KUMIは帰国子女の経験があります。
彼女は2歳から7歳まで、アメリカのサンフランシスコで育ちました。
この出生経験から、ネイティブレベルの英会話スキルを身につけています。
同時に、これがLOVE PSYCHEDELICOの個性の一部ともなっており、バンドの独自性を際立たせています。


歌詞は全体的に抽象的な表現が多く、率直に言って、解釈が難しい箇所がいくつかあります。
ただし、これはむしろ欠点ではなく、むしろ長所と見なすべき点だと私は考えています。

「君」がさまざまな気づきを始める過程

さて、前文が少し長くなりましたが、歌詞の意味に焦点を当ててみたいと思います。


この「Your Song」という曲は、男性(僕)から女性(君)への思いを歌った曲であることが分かります。
ただし、純粋なラブソングとは異なり、全体的に見てメッセージ性はほとんど感じられません。
むしろ、瞬間の情景や感覚を歌った曲といった印象が強く感じられます。


君はまだ全てが想像のstyle

君は、まだ全てが想像のスタイルという表現から、君はまだ完成していない未熟なスタイルという意味と捉えることができます。


花のようなイメージでfly
透明な瞳にスレンダー今宵もqueen
得意げなポーズでsmile

ここでの「君」は、ステージで演じる人物として理解できます。
歌詞によれば、彼女は花のようなイメージで優雅に舞い、清らかな瞳を持つスレンダーな体型で、今夜もお姫様のように美しい姿を披露しています。
そして、彼女は自信たっぷりのポーズで微笑んでいる様子が描かれています。


oh sing it to me
oh sing it to me
終わり無き君のdays

「Oh sing it to me」は「ああ、僕に歌って下さい」という意味です。
この部分により、歌を歌う人物が「君」であることが明確になります。
このフレーズの繰り返しは、僕が君の歌を聴きたいという気持ちを強調しています。
「終わり無き~」の部分は、そのまま「永遠に続く君の日々」と解釈できるでしょう。

oh sing it to me
oh sing it to me your song
(don’t you know?)
悲しみが呼んでる

括弧でくくられた部分は、歌詞を通じて「知らないの?」というように、心の声で「君」に問いかけているイメージを表現しています。
具体的には、「悲しみが呼んでることを君はなぜ知らないの?」といった意味合いです。


あて無く君が抱く想像のstyle
賢しまなメイクでfly
意味もなく憂う瞳も相当にhigh
喜びはチープなsmile

これがいわゆる「2番」の部分です。
ここでは、「君」の才能をさらに称賛しています。
特に、「君が抱いている憧れのスタイルに特別なこだわりがないように見えても、本物のような化粧で舞台に立つ姿や、憂鬱そうな目で喜びを安っぽい笑顔で表現する演技力は、非常に高い証拠であり、素晴らしいものです。」といった解釈ができるでしょう。
確かに、この部分は解釈が難しい箇所かもしれません。


nowhere land nowhere girl
we are living in the nowhere land hey, girl

確かに、英語の歌詞の解釈はネイティブでない人にとっては難しいことがありますね。
この部分の直訳は「大地はどこにもない… 少女はどこにもない… 私たちが住んでいる大地はどこにもない…」となると思われます。
ここで歌われている内容は、旅芸人のような要素を含んでいるかもしれませんね。

やけに君を刺す何かがdon’t tell a lie
壊れそうな明日の夢にdance to dance

ここでは以下のように解釈できます。
「君の周りには嘘が蔓延し、希望のない未来に対抗して踊り続けている」。

oh sing it to me
oh sing it to me
惜しみ無き君のphrase

3行目の「惜しみ無き~」は、「手抜きが無い君の歌唱表現」と解釈することができます。

oh sing it to me
oh sing it to me your song
(don’t you know?)
鮮やかな悲しみが僕をも喰らう

「悲しみ」は「鮮やか」なものとなり、「呼んでる」の代わりに「僕も巻き込まれる」ことになるかもしれません。


君はまだ全てが想像のstyle
いたいけな君にもcry
涙が罪ならばwhere is the truth?
瞬く間に終わるようなevery day
nowhere land nowhere girl

「3番」の歌詞では、いたいけな少女である「君」がさまざまな気づきを始める過程が描かれており、これは成長する過程を表現しています。


oh sing it to me
oh sing it to me
終わり無き君のdays
oh sing it to me
oh sing it to me
夢を見るくらいじゃyou are not crazy

ここの最終行にある「~ not crazy」は、この曲では「本物の歌手とは言い難い」という解釈をすることができ、具体的には「夢を見る余裕があるなら、あなたは本物ではない」という意味合いになります。


oh sing it to me
oh sing it to me your song
(don’t you know?)
心なし冷めてる calling you

そして、ついにクライマックスでひと言が述べられます。
正直、この1行の解釈は非常に難解でしたが、「心の込められていない君を呼びかける声」といった要素が含まれていると考えられます。
この部分は、観客からの賞賛があっても、それらは君の悲しみを理解していないことを指摘しています。
なぜ、そのことに気づかないのでしょうか?
少女にとっては、これはショッキングで厳しい言葉で、曲の結末となっています。

夢を見る時間が幸せであった

この曲は、ジプシーに関する要素を含んでいる可能性があるかもしれません。
ただし、これは完全な推測であり、NAOKIやKUMIのいずれか、または両方がジプシーに関連する映画を観て、この曲を作った可能性があると考えられます。
なお、ジプシーを題材にした映画は数多く存在しています。


この曲は、各地を巡りながら演奏するジプシーの物語を描いています。
バンドのメンバーの中には、まだ幼い少女が歌い手として活躍しており、彼女の才能に惚れ込んでいる男性がいます。
彼は少女の歌唱力に感銘を受け、少女の才能を理解しています。
おそらく彼はバンドの一員か、現場マネージャーのような存在でしょう。
少女は憧れのスタイルを表現しながら、歌うことに喜びを感じています。
彼女は微笑みながら透き通った目を持ち、お姫様のようなスレンダーなルックス、得意げなポーズで微笑み、賢いメイクや憂鬱な表情、チープな笑顔などを演技で表現します。
男性はますます彼女の歌を聴きたいと願っており、心の中で少女に語りかけます。
「もちろん知っているでしょう?未来は悲しく辛いことばかりだということを…。」
彼らには居場所もなく、少女のような存在も必要ありません。
しかし、少女は徐々に現実を受け入れ、泣きじゃくる日々も経験します。
この曲は、夢を見る時間が幸せであったことを描いており、毎日が過ぎ去る中で、客席からの声援だけが残ります。
しかし、その声援も自分の悲しみを理解してくれるものではありません。

過酷な現実と直面しながら生きていかなければならない

さて、「悲しみが呼んでる」の理由について考えてみましょう。

(don’t you know?)
悲しみが呼んでる

このひと言が示す意味は、
「各地を巡りながら音楽を奏でる我々は、非常に過酷な現実と直面しながら生きていかなければならない。今の君のように憧れや楽しみだけでは、生き抜くことはできないのだ。そう、君の未来は厳しいものだ。それを理解しているよね?」
という内容が含まれているでしょう。

人それぞれの解釈がある

この曲には特定のメッセージがあるわけではなく、情景を歌ったものと解釈されます。


私は、曲の解釈が個人によって異なることが素晴らしいと考えています。
特に、抽象的な表現が多い曲では、解釈の多様性が豊かさを生み出します。
しかし、自身の解釈を持つことは良いことですが、それをもとに曲を批判することは避けるべきです。
音楽はアーティストたちが思いを込めて制作するものであり、その尊重が大切です。
私は最初にこの曲の意味を「LOVE PSYCHEDELICOの結成当初にNAOKIがKUMIに対しての思いを書いた曲では?」と感じましたが、最終的には今回「ジプシーの情景」と解釈しました。
耳で聴いて感じること、それが音楽の魅力であり、人それぞれの解釈があることを尊重しましょう。
今回の記事がみなさまの解釈の一助となれば幸いです。