【陽はまたのぼりくりかえす/Dragon Ash】歌詞(リリック)の意味を考察、解釈する。

Dragon Ash(ドラゴンアッシュ)の作品「陽はまたのぼりくりかえす」は、7分を超える長い楽曲です。
この歌は、聴く人にとって特別な意味を持ち、日常生活で立ち向かおうとする姿勢を取り戻す手助けをしてくれるかもしれません。
また、自分にエネルギーを与えたいときにもぴったりの曲と言えるでしょう。
本作品の歌詞を丁寧に解釈してみることで、新たな発見があるかもしれません。

実はアニメの主題歌だった

「陽はまたのぼりくりかえす」は、1998年5月21日にリリースされたDragon Ashの2枚目のシングルです。

この楽曲は、1998年4月18日から11月6日まで放送されていたテレビアニメ『DTエイトロン』のオープニング曲として使用されました。
そして、アニメ版の8cmシングルも販売されたものの、収録されているバージョンは元の演奏時間を5分程度に短縮しています。
また、8cm盤の流行が終わりつつあることもあり、アニメ版のCDに関する情報は公式サイトには掲載されていない状況です。

特に人気の高い楽曲

この楽曲のPVは90秒のバージョンが公開されており、特にドラムの音に着目すると…。

実は、この曲はQueen(クイーン)の「We Will Rock You」(ウィ・ウィル・ロック・ユー)のドラムをサンプリングしています。

ただし、「We Will Rock You」とは対照的に、この曲はKjの優しい歌声から始まります。

公式動画では90秒の制限があるため、全曲を楽しむことができないのが残念ですが、2007年にリリースされた『The Best of Dragon Ash with Changes』とともに、「『あなたが選ぶ最強ソングは?』Dragon Ash 国民投票」で20万票を集め、1位に輝いた人気曲です。

「陽はまたのぼりくりかえす」は、『LOUD & PEACE』、『Buzz Songs』、『The Best of Dragon Ash with Changes Vol.1』にも収録されている楽曲です。

ぜひ、フルバージョンをお楽しみください。

身体全体で立ち向かって前に進んでいく

Dragon Ashの人気曲「陽はまたのぼりくりかえす」の歌詞について、じっくりとその意味を解釈していきましょう。


Slow Down 日常にあふれる繰り返すリズムにのせただようRhyme
さまざまな事があふれてる今だからこそ伝えたいこのPoem
すぎて行く日々の中で忘れていた立ち向かおうとする姿勢
体勢たてなおし軌道修正

「さまざまな事」が溢れる日常生活だからこそ、見失ってしまう事。

それは、「立ち向かおうとする姿勢」です。

困難に立ち向かう姿勢を忘れてしまった自分、そして、みんなの体勢を立て直し「軌道修正」することがこの曲の目的だと言っているのですね。

ここから、どんな歌詞で心を立て直そうとするのでしょうか。

続きの歌詞をご覧ください。


One two step Basket Shoesはけたら部屋から抜けだしone two skip 軽やかに歩きだしてこの胸つきさすBeat探して

ただ吸い込む空気さえも むしばまれそうな時代で
それでも何かをさがして 夢を見つづける人もいたりして

心軽やかに街に出かけ、自分を動かす何かを見つけようとしましたが、外の世界もまた困難に満ちていて、「ただ吸い込む空気さえもむしばまれそうな時代」と感じられるほどです。

「むしばまれそう」という表現がわかりにくいかもしれませんが、現代社会では真偽の判別が難しい情報や多様な価値観や意志が溢れており、気を抜けば影響を受けてしまうことを意味しているのかもしれません。

それでも、自分を大切にし、信じるものを守りながら夢を追い求める人々がいます。
彼らがどれほど苦しんでいるかを理解し、共感することが大切なのでしょうね。


生まれながらに持ち合わせた結晶
多くの場合それは勲章
生きることに誇りを持ちつつ
少しづつすり減らして紋章消耗
やがてそれがなくなったときに そう
真価を問われることになるこの瞬間
裸一貫 さぁ目を開けてみる
日々それは待つことを知らないロケット

偶然であっても、生まれながらに自分を構成した要素はすべてが過去から受け継がれてきた「結晶」であり「勲章」だと言っているのは、自分が持って生まれたものに誇りを持つことが大切だということです。

自分がそのように生まれたのだから、自分自身を誇りに思いながら生きていけばよいのです。

しかし、生きることは容易ではなく、大人になるにつれて現実は厳しくなっていきます。
魔法の「紋章」が少しずつすり減って消えていくように、夢や目標を諦めてしまう人が増えることもあるでしょう。

それでも、そのような時こそ、真の価値が問われる瞬間だと言っているのです。

自分が生きてきた中で積み重ねてきた努力が培われた真の実力、「裸一貫」の状態が試される時ですね。

そうして自分の実力のみで挑戦しようとする姿は、未知の世界へ果てしなく進む「待つことを知らないロケット」のようだと表現されています。

すぐに乗り込もうとするのではなく目で見て耳かっぽじってきけ
陽はまたのぼりそして繰り返す
寝ぼけてるひまなどない今だDive! 

実力を試すチャンスが訪れたとしても、「すぐに乗り込むのではなく、目で見て耳をすましてよく考える」ことが大切なメッセージは、挑戦し続けてきたKjの経験からの教訓かもしれませんね。

ただし、「陽はまたのぼりそして繰り返す」、日々は刻々と過ぎていくのだから油断している時間はなく、「寝ぼけてるひまなど」はないと言っているのです。
本当のチャンスが訪れたら、すぐにでも飛び込むべきだという意味ですね。

つまり、真のチャンスに備えた実力をつけ、チャンスが来た時にそれを見極める目と耳を常に鍛えるようにというメッセージです。
そして、その時が来たら勇気を持って飛び込むことを奨励しているのですね。

常に自分を研ぎ澄ませるような印象を受けるメッセージだと思いませんか?

そうやって夢に向かって真っすぐに進んできた人々が、今、夢を叶えているのかもしれませんね。


さあ窓を開け僕はただ手を振るよ
さあ外へ出てもう少し歩けばいい
陽はまたのぼり繰り返していく
僕らの上を通り過ぎてく
生き急ぐとしてもかまわない
理由がいる人は残ればいい

自分の感覚を信じて「生き急ぐ」人もいれば、何か行動を起こすのには「理由」が必要で慎重に計画を立てて生きていく人もいます。

この二つの生き方を認めつつ、「外へ出てもう少し歩けばいい」と「手を振る」ことが自分の役目だとする歌詞があります。

この歌詞は、急いでも、ゆっくりでも、自分のペースでいいから行動を起こそうというメッセージを伝えているのでしょう。
どんなスタイルであれ、自分らしく前進することが大切だと言っているのですね。


父への尊敬母への敬意
過ちを繰り返さないための努力
持続する度消費してく余力
耐え切れなくなるものは脱落

「父への尊敬母への敬意」という言葉には堅苦しさを感じる人もいるでしょうが、人生の重要な選択を迷った時、大切な人の顔を思い浮かべて進むことで、後悔が少なくなるかもしれません。

愛してくれた人々を悲しませることを考えると、「過ちを繰り返さないための努力」ができるということですね。

しかし、全てを持続することはエネルギーを消耗するものであり、「耐え切れなくなるものは脱落」するということで、大切な人々を想いつつも自分の道を進む中で板挟みになる人々が脱落していくと言っています。

叶えたい夢や目標があると、一心に専念するために周りの人々への気遣いが減ってしまうかもしれません。

ただ、まずは「尊敬」と「敬意」を忘れないこと、それから始めることが大切だと言っているのですね。

Hang in there hang around
踏みとどまってなんとか持ちこたえ答え探して
やがてくる死をただ待つより
少しでも夢をかなえるためにみんな四苦八苦

HI-ho 君の声で始まる
today tonight 繰り返してる
あまりにも 大きい存在感
瞬間に感じる このDAY and day

そう無邪気な天使さえも
殺されてしまう時代で
それでも何かを信じて
恐れを知らない人もいたりして

「Hang in there hang around」の部分では、頑張って夢を追い求めながら時には迷いながら、「夢をかなえるために」「四苦八苦」する様子が描かれています。

そして、「君」という大切な存在ができることで、夢に加えて守るべきものが増える様子も描かれていますね。

こうして誰もがバランスを保ちながら「答え」を探している姿が描かれている歌詞です。

生きていく中での困難さや、それでも夢を追いかける人々の姿が浮かぶ歌詞と言えます。

後の歌詞では、「無邪気な天使」、つまり何も知らない子供や心の無邪気な人たちですら、厳しい社会の中で何かを信じてまっすぐに進む必要があることが描かれています。

無邪気に夢を信じて叶えようとすることが、どれだけ難しい世界であるかを認識しつつも、それでも夢を追い求める勇気ある人々が存在すると伝えているのですね。


Friends clap your hands put your hands in Air!

冒頭から何度も繰り返される「Friends clap your hands put your hands in Air!」という歌詞は、訳すと「友よ手を天に掲げてそして打ち鳴らしてくれ」といった感じでしょう。

ライブやフェスをイメージしていただければ、みんな手を挙げて叩いて!盛り上がろう!というニュアンスが伝わることでしょう。

実際、過去のライブ映像を見ると、Kjがオーディエンスと一体となって手を叩くシーンが見受けられます。

この曲は、聴く全ての人の人生と生き様を認めた上で、みんなで一緒に手を叩いて音楽を心の底から楽しもうと呼びかけるような姿勢に心打たれますよね。


さあ窓をあけ僕は手を差しのべて
さあ手を伸ばし君はただ掴めばいい
陽はまたのぼり繰り返していく僕達の空をのみこんでいく
生き急ぐとしてもかまわない飛べるのに飛ばないよりはいい

生きていく中で「立ち向かう」ことを忘れ、自分の望む方向に進む一歩を踏み出すのに躊躇する人たちへ「手を差しのべ」、「手を伸ばし君はただ掴めばいい」という歌詞。

これまでの歌詞を踏まえた上で、「すぎて行く日々の中で忘れていた立ち向かおうとする姿勢」を取り戻すというこの曲の目的に辿り着きます。

最初にこの言葉を聞いた時と、ここまでの歌詞の意味を理解した今では、響きが全く違うのではないでしょうか。

生き急いで、たとえ挫折したとしても、本当は叶えられた夢だったのに、叶えようとしなかった後悔よりもずっと良い結果を得ることができるという考え方ですね。
逆境にも立ち向かって、努力を重ね、待ち望むチャンスを追いかける姿勢を持ちましょうというメッセージが込められています。


Hang in the Body clap your hands put your hands in Air!

“Hang in the Body clap your hands put your hands in Air!”という最後の歌詞も、前に出てきた英語歌詞と同様に、盛り上がろうという意味合いが強く感じられますが、先ほどの歌詞と比較すると、手を叩くだけでなく、体を揺らして全身で音楽を楽しむような姿が描かれていますね。

明日への活力に満ち溢れた言葉が詰まった歌詞でありながら、最後はやはり、言葉以上に体を使って音楽を楽しんで、みんなで共有し、前に進んでいこうというDragon Ashらしい姿勢が感じられます。

この歌が創り出す平和な世界に包まれたような気持ちになる歌詞でした。

まとめ

「陽はまたのぼりくりかえす」は7分を超える超大作で、その歌詞を全編解釈するにはかなりの文量になりましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

この曲を聴くと、やはり元ベースであり今は亡き馬場育三さんの姿が蘇りますね。

彼のご冥福をお祈りするとともに、この素晴らしい曲がより多くの人へと届くことを願わずにはいられませんね。