ハンバートハンバート「バビロン」の歌詞の意味を考察

ハンバートハンバートの楽曲「バビロン」は、リスナーによってさまざまな解釈が生まれる深い楽曲です。
その歌詞には、人生の流れや人の関係性、さらには死生観までが織り込まれているように感じられます。
本記事では、「バビロン」の歌詞の意味を考察し、楽曲の魅力を紐解いていきます。

「バビロン」とは？— ハンバートハンバートの楽曲概要

「バビロン」は、男女デュオ・ハンバートハンバートの楽曲のひとつで、アルバム『ハンバートハンバート』に収録されています。
彼らの音楽は、シンプルなアコースティックサウンドに乗せて、詩的な歌詞を淡々と歌い上げるスタイルが特徴です。

この楽曲では、男女の掛け合いによって物語が進行し、それぞれ異なる視点が絡み合いながらひとつの世界観を作り出しています。
シンプルながらも奥深い旋律が、歌詞の持つ意味をより一層際立たせているのが印象的です。

音楽的には、フォーク調のメロディーが基盤となっており、ミニマルながらも味わい深いアレンジが施されています。
特に、2人のハーモニーは、楽曲の持つ叙情的な雰囲気を際立たせ、歌詞の世界観をさらに強調する役割を果たしています。

「バビロン」の歌詞は、一見すると抽象的ですが、その根底には「人生の流れ」や「人と人との関係性」がテーマとして流れているように感じられます。

曲の中では「川」と「海」が繰り返し登場し、それぞれが異なる場所から来た水であるにもかかわらず、最終的には同じ場所へとたどり着くことを示唆しています。
これは、人の人生や関係性を象徴しているようにも解釈できます。

また、歌詞の中では「僕」と「君」という二人の視点が登場し、それぞれが異なる立場から物事を語っているように見えます。
それでも最終的には、二人の視点が交差し、どこか同じ方向へと流れていくように感じられるのが特徴です。

このように、「バビロン」は、「違う人生を歩んできた者同士が交わり、そしてやがて別れる」という普遍的なテーマを描いているのではないでしょうか。

「バビロン」というタイトルは、旧約聖書に登場する「バビロンの捕囚」や「バビロン河」に由来する可能性があります。
旧約聖書の『詩篇137篇』には、バビロンに捕らわれたユダヤの民が故郷を思い嘆く詩が記されています。

「バビロン」という言葉は歴史的に「繁栄と堕落」「流浪」「追放」といった意味合いを持つことが多く、それをこの楽曲に当てはめると、「人はどこから来て、どこへ向かうのか」という人生の問いかけとも解釈できます。

また、「バビロンの塔」の逸話からもわかるように、「異なる者同士が混じり合い、しかし最終的に分かたれる」というテーマも、楽曲の歌詞とリンクしているように思えます。

このように、「バビロン」というタイトルには、聖書的な背景を持ちつつも、人生の普遍的な流れや人間関係の本質を示唆する意図が込められているのかもしれません。

ハンバートハンバートの楽曲には、「生と死」をテーマにしたものが多くあります。
「バビロン」もその一つであり、歌詞には「人はどこへ向かい、最終的にどこへ還るのか？」という根源的な問いが込められているように感じられます。

楽曲の中で、「川」はそれぞれの個々の人生を表していると考えられます。
一方で、「海」は最終的な終着点、つまり死や運命を象徴しているのではないでしょうか。

それでも川は流れ続け、海へとたどり着く。
これは、「人は生きることをやめることはできない。たとえ何があっても流れ続けるしかない」という厳然たる現実を示しているようにも思えます。

こうした視点から考えると、「バビロン」は、人生の儚さと、それでも流れ続けることの美しさを描いた楽曲であるといえるでしょう。

「バビロン」は、その歌詞の深さだけでなく、音楽的な魅力にも溢れています。
特に、ハンバートハンバートの特徴的な男女の掛け合いが、この曲の感情の機微を際立たせています。

シンプルながらも味わい深いメロディー
- ギターを基調としたシンプルな編成ながら、心に残るメロディーが特徴的です。
歌詞の抽象性とリスナーの解釈の幅
- 具体的なストーリーを語るのではなく、象徴的な表現を用いることで、聴く人それぞれの人生に照らし合わせた解釈が可能になっています。
タイトルとの関連性
- 「バビロン」という歴史的・宗教的な背景を考えることで、楽曲の持つ意味がより深くなるという点も、リスナーに考察の余地を与えています。