THE HIGH-LOWS(ザ・ハイロウズ)の楽曲「モンシロチョウ」は、シンプルなメロディと独特な歌詞が特徴の一曲です。
しかし、歌詞をじっくり読んでみると、単なる昆虫の話ではなく、深いメッセージが込められていることに気づきます。
本記事では、「モンシロチョウ」の歌詞の意味を紐解き、THE HIGH-LOWSが伝えようとしたメッセージについて考察していきます。
「モンシロチョウ」の歌詞に込められたメッセージとは?
「モンシロチョウ」というタイトルから連想されるのは、春の陽気に舞う白い蝶。
しかし、歌詞をよく見ると、単なる蝶の生態を描写したものではないことがわかります。
例えば、冒頭の歌詞では「モンシロチョウがキャベツ畑に集まる」といった表現がありますが、これは単なる昆虫の行動ではなく、人間社会に対するメタファーとも捉えられます。
モンシロチョウは卵を産み、幼虫(アオムシ)はキャベツの葉を食べて成長します。
この生態は、生命の連鎖や種の繁栄を象徴していると考えられます。
そして、それを人間社会と重ねることで、繁殖や生存競争における本能的な動きを暗示しているのではないでしょうか。
また、モンシロチョウのイメージは「純粋」「儚さ」といったものと結びつきがちですが、この曲ではより社会的な視点から捉えられている点が興味深いです。
歌詞の中には皮肉や風刺的な表現も見られ、単なる自然賛歌ではなく、人間社会の矛盾や本質を問う内容になっています。
「イルカよりもクジラよりも」——このフレーズの解釈
「モンシロチョウ」の歌詞の中で特に印象的なのが、「イルカよりもクジラよりも」というフレーズです。
一般的に、イルカやクジラは知的で優雅な生き物として認識されています。
それに対し、モンシロチョウはどちらかというと身近で小さな存在です。
では、この対比にはどのような意味があるのでしょうか?
このフレーズには、「イルカやクジラのような特別な存在ではなく、もっと身近なモンシロチョウのような生き方をしている」というメッセージが込められていると考えられます。
つまり、人間社会におけるエリートや成功者(イルカ・クジラ)と、庶民的な生き方(モンシロチョウ)を対比させているのです。
また、「イルカやクジラ」といえば海の生き物ですが、モンシロチョウは陸地に生息します。
環境や生態が異なる生き物を並べることで、違う世界に生きる者同士の視点のズレや価値観の違いを浮き彫りにしているとも考えられます。
このように、このフレーズには単なる動物比較ではなく、「どのように生きるのが正しいのか?」という根源的な問いが込められているのかもしれません。
「第3次世界大戦だぜ」——歌詞の核心に迫る
「第3次世界大戦だぜ」という衝撃的な一節も、この曲の中で特に際立っています。
一見、物騒な表現に見えますが、これにはどのような意味があるのでしょうか?
まず、このフレーズが使われる文脈を考えると、「人間社会の争いや自己中心的な生存競争」を皮肉っているように感じられます。
モンシロチョウがキャベツ畑に集まり、幼虫が餌を食べつくすという生態は、まるで人間が地球上の資源を貪り尽くしている構図と重なります。
さらに、「第3次世界大戦」は単に戦争を意味するのではなく、人類が今後直面する環境問題や資源争奪戦を暗示している可能性もあります。
「そんなことより人類の数減ったほうが地球にやさしくね?」というような発想も、過剰な人間活動への批判として捉えられるでしょう。
このように、ハイロウズの「モンシロチョウ」は、単なる比喩ではなく、社会や環境問題への皮肉を込めた楽曲とも解釈できます。
モンシロチョウ=キャベツ畑? 生態系を通して見る歌詞の背景
モンシロチョウの生態は、非常にシンプルですが、歌詞の文脈では特別な意味を持ちます。
彼らはキャベツ畑に卵を産み、幼虫がキャベツの葉を食べることで成長します。
この一連の流れは、人間社会の消費構造にも通じるものがあります。
例えば、私たちは地球の資源を消費しながら生きており、繁殖と成長を繰り返しています。
しかし、それが行き過ぎると環境破壊や資源不足といった問題に直面することになります。
モンシロチョウがキャベツを食べ尽くすことと、人間が地球の資源を食い尽くすことは、まさに同じ構造だと言えるでしょう。
このような視点から見ると、「モンシロチョウ」の歌詞は単なる自然描写ではなく、「生きるとは何か?」「消費することの意味とは?」といった哲学的な問いを投げかけているのかもしれません。
THE HIGH-LOWSの楽曲に共通するメッセージ性とは?
THE HIGH-LOWSの楽曲には、社会風刺や皮肉を交えた歌詞が多く見られます。
「モンシロチョウ」もその例に漏れず、自然や生態系をモチーフにしながら、実は人間社会の本質を突くようなメッセージが込められています。
例えば、彼らの代表曲「日曜日よりの使者」や「青春」なども、表面的にはシンプルなロックソングですが、よく歌詞を読むと人生観や社会へのメッセージが含まれています。
甲本ヒロトの詞の魅力は、一見すると軽快でポップな言葉選びの中に、深い意味を忍ばせているところにあります。
「モンシロチョウ」もまた、単なる昆虫の話ではなく、「人間とは何か?」を問う楽曲として、多くの人に考える余地を与えてくれるのです。
まとめ
「モンシロチョウ」の歌詞には、環境問題や人間社会の生存競争、さらには皮肉や風刺的な要素が込められていることがわかります。
THE HIGH-LOWSならではのユニークな視点で描かれたこの曲は、聴くたびに新たな気づきを与えてくれる名曲だと言えるでしょう。