MOROHA活動休止発表:ライブで伝えられた想い
2024年12月21日、MOROHAは東京・恵比寿ザ・ガーデンホールでの単独公演「MOROHA単独ツアー2024」最終日に活動休止を発表しました。
観客にとって驚きだったのは、その知らせがツアー最終曲「やめるなら今だ」の演奏後、突然伝えられたことです。
これまで活動休止の予兆を感じさせなかったこともあり、会場全体が驚きと静寂に包まれました。
ライブの最後、MCのアフロが深く感謝の意を述べ、ギタリストのUKが活動休止を告げました。
「理由はシンプルでありながら言葉では伝えきれない」と前置きしながらも、「胸を張って再び会える日を願っている」というコメントには、ファンへの思いと未来への期待が込められていました。
その後アフロは、「俺一人で続けようかなと思った」と吐露しつつも、UKの「それは嫌だ」という言葉に心を動かされ、二人での活動休止を決断したことを明かしました。
活動を共にしてきた二人の深い絆が垣間見える瞬間でした。
活動休止の理由:UKの言葉に込められた葛藤と決断
UKが活動休止を決断するに至った理由には、「新しい曲を作るための引き出しを使い切った」という言葉が象徴的です。
15年にわたる創作活動を経て、MOROHAとしての楽曲制作が彼ら自身の限界に達したと感じたのかもしれません。
この率直な発言は、創作の苦しさと向き合い続けた彼らのリアルを物語っています。
一方で、アフロは活動休止を拒む考えも持っていたと明かしていますが、UKの「一緒に止めるべきだ」という意思を尊重し、最終的に同意しました。
この決断の背景には、二人の間に生まれる化学反応こそがMOROHAの本質であり、どちらか一方では成り立たないという信念があったのでしょう。
創作の現場では、積み重ねた経験が新たな可能性を狭めるというパラドックスに陥ることがあります。
MOROHAが活動休止という形を選んだのも、これ以上二人での音楽が「停滞」を迎えることを避けたかったからかもしれません。
「やめるなら今だ」に込められた創作へのメッセージ
活動休止発表とともに披露された新曲「やめるなら今だ」は、そのタイトルと歌詞の内容から、彼らの心境を象徴する楽曲となりました。
この楽曲には、「創作の終わり」をテーマにしつつも、新たなスタートを意識したポジティブなメッセージが込められています。
「やめるなら今だ」というフレーズには、限界を感じることの苦しさと、それでも進むことの希望が共存しています。
「今がベストなタイミングだ」という思いを感じる一方で、過去の自分たちが築いた音楽を壊すのではなく、新しい道へ向かうための選択を肯定する姿勢も見受けられます。
この曲を演奏しながら、アフロとUKが次に進むための決意を共有しているかのようでした。
活動休止が「終わり」ではなく「読点」であるとする彼らのメッセージは、多くのファンに深く響きました。
MOROHA結成から活動15周年までの軌跡
2008年に結成されたMOROHAは、MCのアフロとギタリストのUKというシンプルな編成ながら、圧倒的なパフォーマンスとリリックの力で多くの支持を集めてきました。
結成当初からの彼らの音楽は、時に攻撃的であり、時に内省的なテーマを持ちながら、一貫してリスナーの心を揺さぶるものでした。
結成15周年を迎えた2023年には、5枚目のフルアルバム「MOROHA V」をリリースし、バンドとしての成熟を示しました。
熱いリリックと鋭いギタープレイで描かれる人生観や社会批判は、単なるエンターテインメントを超えた価値を持ち、ファンの共感を得てきました。
特にライブパフォーマンスは、二人の一体感とエネルギーが観客を圧倒するものとして定評があります。
ライブハウスからフェスのステージに至るまで、MOROHAはどの環境でもその存在感を示し続けてきました。
未来への展望:「戻るのではなく進むその先で」
活動休止に際し、アフロは「MOROHAに戻るのではなく、進んだ先で再会できればいい」と語りました。
この言葉には、音楽以外の新しい挑戦や、個々の成長への意欲が感じられます。
活動休止が完全な解散を意味するわけではなく、いつか新たな形での再スタートがあるかもしれません。
彼らがそれぞれの人生で得た経験が、再び音楽へと結びつく時、MOROHAとしての新たな物語が始まる可能性は十分にあるでしょう。
また、ファンに向けて「これが最後でも構わないという気持ちでライブをしてきた」と語った姿勢は、常に全力で作品に向き合ってきた彼らの覚悟を表しています。
このメッセージは、活動休止後も彼らの音楽が多くの人々の心に生き続けることを示唆しています。
未来がどのように展開するにせよ、MOROHAの音楽と精神は、これからも多くの人にインスピレーションを与え続けるでしょう。