【レモンパイ/マカロニえんぴつ】歌詞の意味を考察、解釈する。

「レモンパイ」とは?曲に込められた恋の甘酸っぱさ

マカロニえんぴつの「レモンパイ」は、タイトルそのものから感じられるように、甘酸っぱくもほろ苦い恋愛を象徴する楽曲です。
タイトルにある「レモンパイ」は、レモンの酸味とパイの甘さが絶妙に絡み合うデザートのように、恋の始まりにある希望と不安が織り交ざった感情を表現しています。
恋愛の中でも特に、付き合う前の微妙な関係や、相手への想いを伝えるかどうかの葛藤が描かれており、この「レモンパイ」という食べ物が、その揺れ動く感情の象徴として使われています。

甘さの裏に隠された酸味のように、楽曲には恋愛の楽しさと苦さが交錯しています。
主人公が抱える「まだ恋人同士ではないが、相手に惹かれてしまう」という気持ちは、恋の始まりの高揚感を示す一方で、その関係がうまくいかないことへの不安感も漂わせています。
この複雑な感情が「甘くて残したレモンパイ」というフレーズに込められており、恋愛に対する期待と、進展しないもどかしさが見事に表現されています。

レモンパイ」というタイトルには、恋愛の甘酸っぱさだけでなく、未来に対する不確定な感情も含まれており、そのため、ただ甘いだけではない複雑な心情が歌詞の随所で感じられるのです。

恋の始まりを恐れる主人公の心理描写

レモンパイ」の歌詞には、恋の始まりを前にした主人公の複雑な感情が繊細に描かれています。
特に、主人公は相手に対して強い想いを抱きながらも、恋が本格的に始まることに対して不安や恐れを感じている様子が浮かび上がります。
恋に進むことで、関係が変わってしまうのではないかという恐れが、主人公を躊躇させているのです。

迷惑だったりする?」という歌詞の一節からもわかるように、主人公は自分の気持ちを相手に伝えることに不安を感じ、相手にとって迷惑なのではないかと自己否定的な感情を抱いています。
この自己否定の感覚は、過去の失敗や自分の未熟さへの意識からくるものでしょう。
恋を進めたい気持ちはあるものの、その一歩を踏み出すことが怖くて、関係が変わってしまうことを恐れる心理が描かれています。

また、「これ恋かもね、そうだとしたらどうなんだ」という言葉には、恋の可能性に気づきながらも、それを受け入れることへのためらいが感じられます。
このためらいは、相手に対する好意が強くなればなるほど、それを告白することで今の関係を壊してしまうのではないかという恐れに繋がっています。

このように、「レモンパイ」では、恋に落ちる瞬間に感じる期待と不安の両面が、主人公の内面でせめぎ合う様子がリアルに描かれており、リスナーはその葛藤に共感せずにはいられないのです。

歌詞に登場する「君」との関係性を探る

レモンパイ」の歌詞における主人公と「」の関係は、友達以上恋人未満の微妙な距離感が続いていることがわかります。
歌詞の中で「」との関係は明確には描かれていませんが、2人が長く親しい間柄でありながらも、恋愛関係には至っていないことが感じられます。
この曖昧な関係が楽曲全体のテーマであり、主人公が「」に対して感じる焦れた恋心が表現されています。

君に触りたい」「揺れながら少し悲しいキスをしたい」という歌詞から、主人公は「」に強く惹かれているものの、その思いを伝えきれていないことが読み取れます。
」とはただの友達ではなく、お互いに惹かれあっている可能性もありますが、その一歩を踏み出すことができないまま、進展しない状況が続いています。
このため、「」がどのように主人公を見ているのか、2人の関係がどうなるのかは、歌詞全体を通して明確には描かれていません。

また、「友だちでいよう」というフレーズが示すように、主人公は「」との友人関係を維持することで、関係を壊したくないという思いも持っています。
しかし、その一方で、「君に触りたい」と強く願う自分がいて、この2つの相反する感情が主人公の中でせめぎ合っています。
2人の関係は曖昧で、進展しそうで進展しないもどかしさが楽曲全体を貫いており、この「」との微妙な関係性こそが、恋の甘酸っぱさを際立たせているのです。

叶わぬ恋がもたらす切なさと葛藤

レモンパイ」の歌詞に描かれる主人公の恋は、叶いそうで叶わない切なさが根底にあります。
主人公は「」に対する強い感情を抱いていながら、それを伝えることができずにいます。
君に触りたい」「少し悲しいキスをしたい」という欲望を持ちながら、その気持ちを表に出すことができず、心の中で葛藤を続ける姿が描かれています。
この抑えきれない恋心は、恋愛における不確実性や、自分の行動によって関係が壊れてしまうかもしれないという恐れに繋がっています。

特に、サビに登場する「揺れながら少し悲しいキスをしたい」というフレーズは、恋が進展しないまま長く続くことで、主人公が抱く焦燥感と切なさを表現しています。
恋を進めたい、けれどそれが叶ったとしても、その先には別れや苦しみが待っているかもしれないという不安が、主人公の心を縛り付けています。
この感情は、甘酸っぱい恋の象徴である「レモンパイ」が「甘くて残した」と表現されている点に、象徴的に表れています。
恋の甘さを味わいたい気持ちはあるものの、その先に待つ苦い現実を恐れて手を出せない葛藤があるのです。

また、2番で描かれる「友だちでいよう」という選択肢は、主人公が恋の進展を諦め、友情に逃げ込もうとする姿を表しています。
友達関係ならば、このままの関係性が続くかもしれないという安定感に頼りたい反面、本当の望みは恋愛関係に進展したいという矛盾を抱えているため、主人公は終わりなき葛藤に苦しんでいます。
進まない恋愛がもたらすもどかしさと、それでも「」を思わずにはいられない切なさが、この楽曲全体に溢れているのです。

「レモンパイ」に託された曖昧な結末とリスナーへの解釈の委ね

レモンパイ」の歌詞は、結末が曖昧であることが特徴のひとつです。
主人公の感情は最後まで明確に解決されることなく、物語は曖昧なまま終わります。
最後に「甘すぎるくらいがいいね レモンパイ」と締めくくられることで、2人の関係が進展したのか、それともそのままの曖昧な関係を続けているのか、リスナーにその結末が委ねられています。

この曖昧さは、楽曲全体を通して描かれてきた主人公の葛藤とも一致しています。
主人公は「」との関係を進展させたい気持ちを持ちながらも、その先に待つかもしれない別れや関係の変化を恐れ、踏み出せないままです。
結末においても、その一歩が描かれないことで、リスナーに考えさせる余白が残されています。

作詞を手掛けたボーカルのはっとりは、楽曲に対する解釈をリスナーに委ねる姿勢を示しています。
このように、聴く側に様々な解釈を許すことで、「レモンパイ」はリスナーそれぞれが自身の経験や感情を重ね、自由に物語の結末を想像することができる楽曲となっています。
恋の甘酸っぱさや切なさを感じたことがある人にとって、どのように解釈するかは個々の体験次第です。

この曖昧な終わり方こそが「レモンパイ」の魅力であり、楽曲を聴くたびに新たな発見や感情を呼び起こす要因となっているのです。
リスナーは主人公の恋の行方を想像し、自分自身の恋愛経験と照らし合わせながら、この物語に向き合うことになるでしょう。