サザンオールスターズの最初のシングルは「勝手にシンドバッド」でした。
この曲が生まれたのは、桑田佳祐が大学生だった1978年のことです。
この歌はサザンオールスターズの伝説の始まりであり、その歌詞を通じて歴史を振り返ってみましょう。
何度も聞きたくなる魅力
今何時?そうねだいたいね
今何時?ちょっと待ってて
今何時?まだ早い
不思議なものね あんたを見れば
胸騒ぎの腰つき……
「勝手にシンドバッド」のサビは当時社会現象となりました。
その背景には、1978年当時の好景気があります。
当時の日本は高度経済成長期真っ只中であり、従来の歌謡曲には少なかった明るい雰囲気が際立っていました。
街中では、男性が若い女性に声をかけてナンパする光景がよく見られました。
歌詞には少しエロティックな要素も含まれており、「胸騒ぎの腰つき」という表現は当時では珍しかったです。
江ノ島が見えてきた 俺の家も近い
行きずりの女なんて 夢を見るように忘れてしまう
さっきまで俺ひとり あんた思い出してた時
シャイなハートにルージュの色が ただ浮かぶ
好きにならずにいられない
お目にかかれて
歌詞を読み解くと、湘南の場所名である「江ノ島」が何度も登場します。
歌詞では、自宅の近くであるかのように歌われています。
おそらく、夜通し遊んでから帰ってきたのでしょう。
歌詞には、一夏の恋人である「あなた」を忘れられないというメッセージが込められています。
心なしか今夜 波の音がしたわ 男心誘う
胸さわぎの腰つき……………………
最後の一節では、この曲が実は失恋ソングであることが明かされています。
タイトルを「夏と失恋と行きずりの恋」とすることもできるほどです。
デビュー曲が失恋の歌であり、その上少しエロティックでコミカルな仕上がりになっています。
この曲のメロディーはもちろんですが、歌詞も共感を呼び起こしたのでしょう。
デビュー作がヒットした理由には、そこに込められたメッセージが共感を生むものだったからだと考えられます。
この曲は奥深いもので、何度も聞きたくなる魅力がありますね。
彼らが成功したのは、偶然ではない
1978年、青山学院大学に在学中の学生が静かにメジャーデビューを果たしました。
それが2017年には活動開始から40年近くが経ち、今や日本を代表するバンドとして君臨しています。
サザンオールスターズのデビューシングル「勝手にシンドバッド」のタイトルは、当時絶大な人気を誇っていた沢田研二の「勝手にしやがれ」と、同じく大ヒットしていたピンクレディーの「渚のシンドバッド」からインスパイアされたものであると、後に桑田佳祐は雑誌のインタビューで明かしています。
ちなみに、カップリング曲の「当たって砕けろ」にも、ピンクレディーの代表的なフレーズである”ウォンテッド”が勝手に取り入れられています。
デビュー当時は一部でコミックバンドとして見られていましたが、桑田佳祐の歌唱力と独特の野太いロックサウンドが大衆に受け入れられ、彼らの人気は急上昇しました。
当時はCDが一般的ではなく、レコードでの販売が主流であり、しかも大学生という売れない要素が多かった中で、「勝手にシンドバッド」は大きな成功を収めました。
その理由の一つは、いかりや長介率いるドリフターズがサザンオールスターズのデビューシングルのタイトルに抗議したことにより、知名度が急速に高まったからです。
いかりや長介は「勝手にシンドバッド」を聴いて、このバンドは成功するだろうと直感したのでしょう。
抗議はすぐに取り下げられ、サザンオールスターズの知名度はいかりや長介の行動によって大きく広まりました。
彼らが成功したのは、偶然ではなく、人との出会いやプロの世界の厳しさを知った上での出来事でした。
桑田佳祐はその後も悩みや葛藤を経験しましたが、その葛藤を乗り越えてバンドは40年近くも続いているのは素晴らしいことですね。