【花/藤井風】歌詞の意味を考察、解釈する。

今回の曲は、藤井風さんの「花」です。

この曲は、フジテレビ系木曜ドラマ「いちばんすきな花」(主演:多部未華子さん)の主題歌でもあります。

私がこの曲を初めて知ったのもそのドラマからでした。

藤井風さんの曲はどれも魅力的ですが、今回の「花」も特に素晴らしいです。

特に、そのミュージックビデオ(MV)を見た後は、さらに感動しました。

MVには驚きが多く、今回はそのMVと歌詞の解釈を一緒に考えてみたいと思います。

まだこの曲を聴いたことがない方は、YouTubeや各種音楽配信サービスでぜひ聴いてみてください。

生と死を象徴するメッセージ

物語は、下降する音と印象的なピアノのフレーズで幕を開けます。

荒野を歩く、まるで喪服を着たような風さんと、花で埋め尽くされた棺桶に引き摺られる風さんが、映像に映し出されます。

枯れていく
今この瞬間も
咲いている
全ては溶けていく

「花」という曲名からは予想だにしない、「枯れていく」という意外な冒頭。

この一文だけで、世界観に一気に引き込まれます。

カラフルな花に囲まれた棺桶の中の風さんが「枯れていく」姿を見せ、真っ黒な喪服を着た風さんが「咲いている」。

たった10秒の映像で、生と死を象徴するメッセージが伝わります。

何が出来るのだろうか
誰を生きようかな
みんな儚い
みんな尊い

自分の周囲が絶えず変化する中で、自分が何を成し遂げ、どのように生きていくべきか。

そんな模索が日々頭をよぎる中で、毎日を過ごすことは、儚くても尊いものです。

「咲いている」喪服姿の風さんが歌っていることで、残された人々の未来を描き出しているように感じられます。

「永遠に変わらぬ輝き」は、生き方や信念、情熱

しわしわに萎れた花束 小わきに抱えて
永遠に変わらぬ輝き 探してた
僕らを信じてみた
僕らを感じてた
咲かせにいくよ
内なる花を

サビでは、喪服風さんが棺桶を載せた車を走らせる場面が描かれます。

これは、残された者=現在生きている者が、「永遠に変わらぬ輝き」を求めている様子と重なります。

「しわしわに萎れた花束」とは、何を指しているのかについては様々な解釈がありますが、自分を装飾した状態を指す可能性があります。

本来の自分ではなく、他人の目や社会の期待に応えようとして偽りの姿を演じることで疲弊する様子を、「しわしわに萎れた」と例えているのかもしれません。

この考え方は、ドラマの主人公たちにも共通する要素かもしれません。

一方、「永遠に変わらぬ輝き」は、生き方や信念、情熱などを指すのかもしれません。

これが「内なる花」として美しく輝き続けるということです。

「美しく咲く」ために全力で生きる

さりげなく 思いを込めてみる
やむを得ず 祈りを込めていく
いつまで迷うんだろうか
いつかは分かるよな
誰もが一人
全ては1つ

2番では、棺桶に入りカラフルな風さんが動き出します。

「さりげなく思いを込める」=「生」、「やむを得ず祈りを込める」=「死」を象徴しているように感じました。

同時に、「思い」を込めるのは「死」に向かう者であり、「祈り」を込めるのは「生きる」者であるとも解釈できます。

死についての経験は生きている私たちには理解できませんが、その情景が想像されます。

お互いを思いやること、愛情が感じられます。

色々な姿や形に 惑わされるけど
いつの日か 全てがかわいく思えるさ
わたしは何になろうか
どんな色がいいかな
探しに行くよ
内なる花を

お線香を口にくわえ、供える風さんの姿は、本当にかっこいいですね。

SNSの普及により、日常生活で「さまざまな姿や形に 惑わされる」ことがますます増えています。

2番の歌詞では、「いつまで迷うんだろうか」「惑わされる」という部分から、内なる花を見つけるために奮闘している様子がうかがえます。

歌詞の中での迷いとは裏腹に、MVでは自由な自己表現が行われているのが印象的です。

MVの中でお線香を供える場面から、それが故人を弔うものであることが分かります。

間奏では日が沈み、壮大な死者を送り出す様子が描かれています。

しわしわに萎れた花束 小わきに抱えて
永遠に変わらぬ輝き 探してた
僕らを信じてみた
僕らを感じてた
咲かせにいくよ
内なる花を
探しにいくよ
内なる花を

落ちサビでは、火を囲んで自由に踊る様子が描かれます。

花は美しく咲き、そして散って枯れていきます。

人も同様で、年月は花よりも長いですが、最終的には枯れて土に還ります。

「美しく咲く」ために全力で生きることが、枯れていく者への最高の弔いとなるのではないでしょうか。

どれほど懸命に「咲いた」か

何よりも驚くのは、1番の最後の部分です。

踊り続けていた5人たちも、最終的には土になって消えてしまいます。

最初は悲しい結末のように見えますが、彼らの表情からは後悔の気持ちが感じられません。

それは、彼らがどれほど懸命に「咲いた」かを示しているのでしょう。

内に秘めた力強い輝きを思い起こさせてくれる

このMVに対する解釈は人それぞれでしょうが、私の見解を述べました。

人生は短く、あっという間に終わってしまうからこそ、その前に「変わらぬ輝き」を見つけるための旅に出たくなります。

終わりがあるからこそ、美しく咲こうとするのかもしれません。

日常の中で忘れがちな、内に秘めた力強い輝きを思い起こさせてくれる曲です。

本当に好きです。