【蕾/コブクロ】歌詞の意味を考察、解釈する。

2007年に公開され、今もさまざまな場面で人々に愛されているコブクロの『蕾』は、第49回日本レコード大賞に選ばれるなど、輝かしい賞を受賞した名曲です。
しかし、実際には実話に基づいています。
今回は、『蕾』の歌詞を掘り下げてみましょう。

主人公が一人で悲しみに沈む様子

コブクロの『蕾』は、彼らの14番目のシングルであり、第49回日本レコード大賞を受賞した素晴らしい曲です。
この曲はテレビドラマ『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』の主題歌として作られましたが、実はボーカルの小渕健太郎の実話に基づいています。
小渕は18歳の時に母親を亡くし、ドラマで描かれた母親への深い愛情を共感し、『蕾』という曲が生まれたのです。
これを踏まえて、さっそく歌詞を確認してみましょう。

涙こぼしても 汗にまみれた笑顔の中じゃ
誰も気付いてはくれない
だから あなたの涙を僕は知らない

絶やす事無く 僕の心に灯されていた
優しい明かりは あなたがくれた理由なき愛の灯

お母さんは、汗を流しながら献身的に働いていたようですね。
どんな状況でも笑顔を忘れず、たくさんの愛情を持って子供たちと向き合っていた様子がうかがえます。

柔らかな日だまりが包む背中に ポツリ 話しかけながら
いつかこんな日が来る事も
きっと きっと きっと わかってたはずなのに

消えそうに 咲きそうな 蕾が今年も僕を待ってる
掌じゃ掴めない 風に踊る花びら
立ち止まる肩にヒラリ
上手に乗せて笑って見せた あなたを思い出す 一人

「こんな日」については具体的に触れられていませんが、歌詞の後半に「一人」という言葉が登場することから、おそらくその日は母親が亡くなった日を指しているのでしょう。
亡き母との思い出にふけりながら、主人公が一人で悲しみに沈む様子が浮かんできますね。

別れを受け入れきれず、涙がこぼれてしまう

「蕾が僕を待っている」という歌詞から考えると、おそらくこれは春以前の出来事でしょう。
しかし、次の2番では少し時が経過するようですね。

ビルの谷間に埋もれた夢も いつか芽吹いて
花を咲かすだろう 信じた夢は咲く場所を選ばない

僕等 この街に落とされた影法師 みんな光を探して
重なり合う時の流れも
きっと きっと きっと 追い越せる日が来るさ

最初に歌われているのは、誰かの夢に関する内容です。
信じた夢はどこにいても花を咲かせるという意味でしょうか?
つまり、夢は形を問わず叶う可能性があるということを伝えているのかもしれません。
母親の死を克服した主人公は、自分の夢に向かって歩んでいるかもしれませんね。
実際、この楽曲が制作されたのはコブクロの小渕が歌手になる前のことでした。
その頃の小渕の夢や思いが、この歌詞に反映されている可能性も考えられます。

風のない線路道 五月の美空は青く寂しく
動かないちぎれ雲 いつまでも浮かべてた
どこにももう戻れない
僕のようだとささやく風に キラリ舞い落ちてく 涙

時は進み、5月になります。
「どこにももう戻れない 僕のようだ」という歌詞は、おそらく「もう支えてくれた母はいない」という主人公の悲痛な気持ちを表しているのでしょう。
夢に向かって進もうとしているけれど、まだ母親との別れを受け入れきれず、涙がこぼれてしまう…そんな状況にあるのかもしれませんね。

少しずつ前を向いている兆候

散り際に もう一度開く花びらは あなたのように
聴こえない頑張れを 握った両手に何度もくれた

母との別れを受け入れることができず、前に進もうとする主人公。
そんな主人公を励ましたのは、蕾から花が満開になり、そして散り始める姿だったかもしれません。
自分の手に舞い降りた花びらに母親を重ねるところからも、主人公が母を深く大切に想い続けていることが伝わってきますね。

消えそうに 咲きそうな 蕾が今年も僕を待ってる
今もまだ掴めない あなたと描いた夢
立ち止まる僕のそばで
優しく開く笑顔のような 蕾を探してる 空に

最後のサビは、おそらく母親の死から1年後の状況を表しているのでしょうか?
花は再び蕾に戻っているようですが、主人公の夢はまだ叶っていないようです。
後半の歌詞からは、主人公がまだ母親の影を忘れられずにいることも伺えます。
ただ、「蕾を空に探している」というフレーズからは、上を向いているという意思が伝わってきます。
ただ悲しんでいるだけでなく、少しずつ前を向いている兆候があるかもしれませんね。